2020年度

2020年度

2020年9月4週号

定住促進・移住支援をサポート

吉田宙斗さん 南丹市


「今年は出来が良いです」と吉田さん

「自分がモデルケースになることで、農業をしたい人が南丹市に来るきっかけをつくりたい」と話す地域おこし協力隊員・吉田宙斗(よしだひろと)さん(24)は、44アールの圃場で主にサツマイモを栽培。同市の定住促進と移住支援の一翼を担っている。

兵庫県の非農家出身の吉田さんは、就職先で農業部署に配属され、農業に興味を持った。「福島県で耕作放棄地を利用したサツマイモ栽培に携わり、一からものを作る楽しさを知った」と振り返る。

就農を目指して、南丹市の協力隊に昨年9月就任。地域の農家から耕作放棄地を借り受けた。

作付けているサツマイモは4種類で、中でも白安納芋の一種「七福」はブランド化を目指しているという。

就農当初からの相談相手である南丹市集落支援員の下澤博さんは「吉田さんのもとに他の地区から作付けの依頼がくるほど地域の人気者。耕作放棄地となっている土地は、若い人が頑張ってくれるならと快く貸してくれた」と評価する。

吉田さんは、「当面の目標は栽培面積の拡大と売り上げアップ。成果を出して農業のイメージを変え、若い就農者を増やしたい。それが日本の農業と畑を守ることにつながれば」と展望を話す。

2020年9月3週号

放置竹林解消へ 竹紛入りぬか床100キロ超出荷

池姫竹炭組合 舞鶴市


池姫竹炭組合のみなさん。後列左から森本さん、杉本時夫さん、井上孝空さん、波多野将秀さん、前列が村上栄優さん

同組合の商品の数々

増加し続ける放置竹林の対策に取り組む舞鶴市の池姫竹炭(いけひめちくたん)組合(森本周次代表=70歳、組合員5人)は、2001年の結成以来、竹炭や竹酢液など竹の用途開拓に取り組み、昨年春、「竹パウダー入りぬか床」を商品化した。

伐採したモウソウチクを洗浄し、専用機械で粉末にして乾燥させ、米ぬかや塩などと混ぜ合わせた後、約3週間かけて発酵させる。

同市内のJA京都にのくにの直売所などで販売している。竹の成分が水分を吸収・保水するため水抜きの必要がなく、竹が持つ制菌作用で床まぜが不要、また、乳酸菌が増える効果もあるという。

この管理の手軽さが評判で、夏場のピーク時には月の出荷量が100キロを超える。竹を40キロ以上使ったことになるという。

「放置竹林が少しでも減るきっかけになれば。若い人にも手軽にぬか漬けを楽しんでほしい」と期待を込める森本さん。今後は、「若い組合員を増やし、次代に引き継いでいきたい」と話す。

2020年8月4週号

空心菜 水耕で周年出荷 栽培拡大に意欲

川﨑継太さん 久御山町


「葉酸も豊富に含まれるので、妊婦さんにもお勧めです」と話す川﨑さん

空心菜を収穫する川﨑さん

水耕施設で空心菜〈クウシンサイ〉を栽培する久御山町の「株式会社Kawau Farms」代表・川﨑継太さん(34)は、「ビタミン類やカルシウムなど栄養素を多く含む優秀な野菜です」とPRする。

空心菜は東南アジアの温暖な地域が原産の野菜。同社では、地下水と液肥で水耕栽培を行っている。土耕に比べて害虫が侵入しにくく、薬剤散布が極めて少なく済むという。「安全・安心をモットーに、体に良い野菜作りを目指している」と川﨑さん。

冬場は温水と暖房を稼働させるため、年間通して収穫し、「くうしん菜」の商品名で府内外へ出荷する。

水耕栽培の空心菜は柔らかく、生で食べられると好評を得ていて、川﨑さんは「今後は、空心菜の栽培規模を拡大していきたい」と意気込んでいる。

▽経営規模=空心菜鉄骨ハウス18アール、トマト鉄骨ハウス12アール、水稲130アール

2020年8月3週号

農地保全や獣害対策 集落一丸となって一歩ずつ

農事組合法人久理陀ファーム 代表理事 狩野重幸さん 宮津市


山際3・8キロメートルにわたって張ったワイヤメッシュを前に狩野さん

「地区をまとめるのは大変だが、気持ちを強く持ち団結することが大切」と話すのは宮津市の狩野重幸さん(70)。農事組合法人久理陀(ルビ・くりた)ファームの代表理事を務めている。

同法人は、2018年2月に営農組織から法人化を果たし、集落の農業者71人の組合員が、水稲4ヘクタールの栽培を主に集落の農地管理を行っている。

営農組織のころから生産調整について意見が交錯していて、組織内の統制が取れずにいた。役員が中心となって何度も話し合いを重ねたことで、数値目標を達成することができた。狩野さんは、「すぐに結果に結びつくとは考えず、いつも挑戦する気持ちで活動をしている」と話す。

獣害に対しても、組織一丸となって対策を講じた。山際にワイヤメッシュを3年がかりで張り巡らした。

狩野さんは、「集落の農地をしっかり守っていくことが一番の目標。保全管理地や畑地の有効活用ができないかと考えている」と展望を話す。

2020年8月2週号

地域農業を守るために

西田 強さん 福知山市

西田 強さん(64歳) 福知山市

私の住む地区は、福知山市の中心部から約20㌔離れた中山間地です。過疎・高齢化や離農の影響で年々耕作放棄地が増加しており、地区内の景観にも影響が及んでいます。

最近ではシカの生息数が急増したことで、毎年農作物が荒らされる被害が出ています。山裾に金網フェンスを設置していますが、完全に防ぐことができず、フェンスの内側にも電気柵やネットを張っています。ここまで手を尽くしても被害が出ているのが現状です。

耕作放棄地の対策としては、地区内で有志を募って草刈りや耕うん作業を行い、少しでも景観が保たれるように取り組んでいます。また、水田は地区内の労働力では限界があるので、地区外からも協力を得ています。

私は兼業農家となり、約30年経ちました。自然の中で作物を育てることに喜びを感じますし、収穫時には達成感があるので農作業は楽しいです。

近年の異常気象による自然災害やシカなどによる農作物被害の減収を補うには農業保険制度が不可欠だと考えています。農業に感謝しつつ、これからも地域の農業を守っていきたいと思います。

中丹支所
共済部長歴2年
担当戸数29戸
水稲105アール

2020年7月4週号

特産タマネギ 産地再興へ一丸

亀岡市地域水田農業活性化協議会 会長 酒井美明さん

亀岡市曽我部町で特産品「玉ねぎ」の名称で扱うタマネギ「もみじ3号」の再興に取り組んでいる酒井美明さん(72)。亀岡市地域水田農業活性化協議会の会長を務め、「特産品を通して地域を盛り上げたい」と意欲を見せる。


タマネギを収穫するメンバー。重労働になる収穫作業は機械の導入で省力化を図る

「これからも地域のために栽培を続けていきたい」と酒井さん

曽我部町地区でタマネギの栽培が始まったのは、昭和30年代後半。昼夜・季節ごとの寒暖差が激しいことから、甘くておいしいタマネギが育つ。玉ねぎとして特産化し、最盛期には300戸以上の農家が栽培していた。しかしその後、後継者不足などが原因で生産量が激減。収量は約3トンまで減ってしまった。

玉ねぎを復活させよう」という計画は、地域の圃場整備事業をきっかけに高まり、酒井さんらと行政、農業団体、販売業者が協力して、2018年、亀岡市地域水田農業活性化協議会を結成。「玉ねぎ再興プロジェクト」がスタートし、地区内の4集落26人が、約40アールの圃場で栽培した。

昨年の収穫量は約24トン、今年は2集落増え、計6集落34人、約80アールで約50トン収穫した。

人手不足には機械化で対応

酒井さんは、「栽培には、休耕田や圃場整備事業で整備された圃場を活用している。地域振興の役に立っていることがやりがいにつながっている」と話す。

「人手不足や後継者不足は課題として残る。少しでも解消していきたい」と力を入れているのが、農作業の省力化で、定植・収穫作業に機械を導入している。また、農福連携の取り組みにも積極的で、福祉施設に出荷調整作業の一部を委託しているという。

プロジェクトで生産されたタマネギは地元の学校給食に利用されるほか、同地域に工場を持つ石井食品株式会社で地域活性化の取り組みとして開発されたハンバーグやスープに使用されている。さらに、亀岡市のふるさと納税返礼品にも選定されるなど、広く好評を得ているという。

「多くの人に食べてもらえていることがうれしい」と笑顔を見せる酒井さん。「先代から続いている玉ねぎを、再興に向けて地域の農家と団結できているのが喜ばしいこと。今後は、担い手組織と連携して次世代へ引き継ぎながら、栽培面積を拡大させていきたい」と展望を話す。

2020年7月3週号

収入保険 加入の決め手

柴野直敏さん 京丹後市

青申の実績で確実に

収入保険には今年1月に加入しました。全品目の収入が対象になるのが決め手となり、青色申告の実績で確実に補償が受けられる点にも魅力を感じます。

就農して30年。ナシは果樹共済に加入していました。大きな被害を何度か受けた経験があり、ブドウや他の野菜も保険が必要と考えていたところ、果樹専任部長会で収入保険を知りました。

青色申告は就農後すぐに始めており、収入保険と果樹共済の掛金がほぼ変わらなかったこともあって抵抗なく移行できました。

今年は春先の低温・降ひょうによる被害があり、また新型コロナウイルス感染症の影響もあると思うので加入しておいてよかったと妻と話しています。

今後は、新規顧客の獲得を目標にしていて、お客さんの立場で考え、喜んでもらえる商品を栽培し販売していきたいと思います。

2020年7月2週号

地域のブランドナス 規模拡大へ

橋本恵一さん 京田辺市


株の手入れをする橋本さん

特産ナスの栽培に取り組む京田辺市の橋本恵一さん(41)。「多くの人に届けたい」と話す。

6年前、祖父の後を継いで就農し、10アールで栽培するナスは年間約1・3㌧出荷している。

JA京都やましろが「京都田辺茄子」のブランド名で扱うナス「千両二号」は、皮が柔らかく肉厚なのが特徴。市内の生産者が担い手育成の一環として「京都田辺ナス農家養成塾」を開いていて、橋本さんもそこでで学んだ。「当初は栽培がうまくいかず苦労したが、地域の支えがあった。今でもアドバイスをもらって勉強している」と話す。

市内には共同選果場があるため、生産者は摘葉や誘引、水管理などの作業に注力できるという。橋本さんは「品質の高い京都田辺茄子を継続して栽培したい」と話し、今後は「年間を通して安定した農業経営を目指し、規模を拡大させていきたい」と意気込む。

▽経営規模=水稲75アール、ナス10アール、コマツナハウス2棟

2020年5月2週号

農福連携 笑顔が増えます

井内 徹さん 宇治市

井内徹さん 宇治市
誘引作業の準備をする井内さん。「必要とされる農業を継続させたい」と話す
井内さんと滝川さん
井内さん(右)と滝川さん。中央にある機械は新たに導入したカブの洗浄機
井内徹さんと作業員
笑顔いっぱいの作業員たちと井内さん

農作業を通じて障がい者の自立支援に取り組む宇治市の井内徹(いのうちあきら)さん(37歳)。「一昨年前から取り組んでいるこの農福連携は、作業効率の向上や農業経営の安定につながる。地域にも広げたい」と取り組み内容を解説する。

消費者や従業員など関わる全ての人の役に立てる農業経営を目指す井内さん。取り組みのきっかけは、地域の推進で共に活動していた、就労継続支援B型事業所「株式会社たくみF∞ⅰSweet(エフアイスイート)」の管理者・滝川康高さん(44歳)から「施設の通所者に何かできることはないか」という相談を受けたことだった。当初は困惑した。農作業は単純ではないし重労働も多い。

だが、事前に動画を撮影し事業所で予習をしてもらうことで、作業内容を分かりやすく伝えることができた。「皆さん飲み込みも早く、作業効率は以前に比べて非常に上がり、収益も上がった」と井内さんは喜ぶ。

春先は万願寺トウガラシの誘引作業。ほかにもカブやトウモロコシの施肥や防虫管理など、年間通して作業が行われ、基本的に作業員3人と支援員1人体制をとっている。

また、身体が不自由な作業員が作業しやすいようカブの洗浄機など新しい設備を導入し、作業環境への配慮なども工夫している。

6次化にも意欲「一層の支援を」

「時給は決して高くはないが、作業員が『初めて母にケーキを買ってあげられた』と喜ぶ姿を見て嬉しかった」と井内さん。

滝川さんは「何よりも井内さんの人柄に助けられています。作業に来る前と比べて、作業員たちの表情が明るくなり、人とのコミュニケーションがうまくなりました」と顔がほころぶ。

今後はもち米の栽培から餅の製造販売までを手掛ける6次産業化など事業拡大を目指す井内さん。「現在常時雇用ではないですが、福祉活動としてだけではなく、しっかりと利益を上げられるよう支援していきたい」と、雇用や作業員の職としての維持を意識する。

▽経営規模=水稲2ヘクタール、万願寺トウガラシ15アール、カブ1ヘクタール、トウモロコシ20アール、キュウリなど

2020年4月4週号

京野菜に魅かれて就農

呉 尚樹さん 南丹市

呉尚樹さん 南丹市
「ハウスも増やしイチゴ、スイカ、メロンなどにもチャレンジしきたい」と呉さん

「農業はしんどいより楽しいが上回る」と生き生き話す南丹市の呉尚樹(ご なおき)さん(36歳)。2019年4月に独立し、ハウス(6棟)で、京野菜のミブナ、コマツナ、露地約20アールでダイコンなど作付け、収入安定に向け日々励んでいる。

以前はサービス業に従事していた呉さん。京野菜に魅かれ、就農を決意。まずは同市日吉町の農園での「ボラバイト」から始めた。約5年の経験を積んだ頃、「もっと上を目指したい」と独立に至った。

農薬の使用は必要最低限に抑え、鮮度を落とさず出荷。消費者に安全・安心な野菜を提供できるよう心掛けている。

「大変なことも多いですが、愛情を注げば注ぐほど結果がついてくるのが農業の魅力」と笑顔の呉さん。今後は「より多くの農家さんと情報交換し、経営を安定させたい」と気合が入る。

2020年4月2週号

子供が笑顔になる野菜を

しましまファーム 田中まりさん 舞鶴市

田中まりさん 舞鶴市
「子供が喜んでくれると頑張れます」と田中さん
レシピと野菜
レシピと野菜

「良質で子供がおいしく食べてくれる野菜作りがモットー。品種選びにこだわっています」と話す舞鶴市の田中まりさん(37歳)。2015年に就農し、17年に独立。「しましまファーム」を立ち上げた。

現在は、「万願寺甘とう」を中心に「佐波賀(さばか)だいこん」や「舞鶴かぶ」のほか、さまざまな季節の野菜を14アール栽培する。

万願寺甘とう以外の野菜はすべて直売。「一番おいしい食べ方をお伝えできれば」と、手書きのレシピを必ず添える。現在、顧客は約70戸。うち20戸は定期配送している。

食育も大切にしていて、同市内の小学校を中心に佐波賀だいこんをはじめ地元の野菜の魅力を伝えている。

「将来、規模拡大をしても自分の思いを大切に農業していきたい」と笑顔で話す。