2019年度

2019年度

2020年3月2週号

全国に通じる味・品質で勝負

丹後岩木ファーム 京丹後市

丹後岩木ファーム 京丹後市
「仲間が作った米が全国に通じることは、農家の誇り」と、水魚乃交を手に喜ぶ岡田代表
丹後岩木ファーム 京丹後市
焼酎を寝かせているのは昔の防空壕。適温を保てる

営農組合を前身に2009年に設立した京丹後市の株式会社丹後岩木ファームは、ミズナ(ハウス40棟)を中心に、水稲7ヘクタール、海老芋20アールなどを生産。メンバー全員がエコファーマー認定を受け、安全・安心な農作物の生産と販売を行う。

米は全て特別栽培米。主食用としての販売が中心だが、現在、力を入れ始めているのが、精米率70%コメ焼酎「水魚乃交(すいぎょのまじわり)」だ。

同地域は古くから稲作が行われ、生産者にとって米は自慢。「自分たちの旨い米で作った酒が飲みたい」という声が酒作りの発端だった。

願いを叶えてくれたのは兵庫県の此の友(このとも)酒造株式会社。年数を置けば置くほど味がまろやかになり、コクとさっぱりした焼酎に仕上がった。

14年に道の駅で販売したものは一般的な焼酎の酒瓶とラベル。15年、代表取締役の岡田美晴(よしはる)さん(66歳)は、「自分たちの米から作った焼酎が、どれだけ世の中に通用するのか」と考え、試しにラベルを外し、京都市内39社の老舗旅館や飲食店、ホテルを回り、試飲と感想を求めた。結果、大手ホテルでの取り扱いにこぎ着けた。

デザインも一新し、焼酎にも磨きをかけ、現在は年間1万本(720ミリリットル)を生産し、大手ホテルの全国グループ店で取り扱われている。44度の原酒と25度の2種類あり、販売は京都と大阪の「髙島屋」と、丹後岩木ファームで行っている。

岡田代表は、水魚乃交の販売が生産者の意欲につながり、同法人自体の取り組みが農業で暮らせる仕組み作りの事例になれればと精を出す。

2020年2月4週号

経営安定と共に地元の活性化

高橋 孝明さん 綾部市

高橋 孝明さん 綾部市
「企業で経験した経理の知識を生かし、経営戦略を立てたい」と高橋さん

「帰郷の度に人が減り、地元の農地が荒れていくのを心配した」と話す綾部市の高橋孝明さん(33歳)。「地元の力になりたい」と脱サラし、2016年に就農した。現在は、妻、妹とともにハウス6棟で「万願寺甘とう」とアスパラガス、露地20アールでエビイモなどを生産する。

独立後2年間は、災害に加え、作物の病気への対処が遅れるなど、思い描いた栽培管理ができず、赤字が続いた。栽培の管理方法や繁忙期の雇用人数を調節するなど試行錯誤を重ね、昨年は黒字を達成。「経営安定の兆しが見えてきた」と話し、これまでの確かなデータをもとに経営戦略を立てる。

販路を独自に開拓しながら、飲食店経営者との交流や、都市部の農家などと産地間交流を行う高橋さん。「産地や作物によって農繁期・農閑期が違う。双方で人材の有効活用ができれば双方に利益が見いだせるのでは」との視点でシステム化を考えているという。

今年はハウスの増棟を予定している。「まずは一歩一歩しっかりと歩み、地元に活気を取り戻したい」と気合が入る。

2020年2月3週号

後継者が育つ環境を

浅田 清次さん 南丹市

浅田 清次さん 南丹市
現役がいるうちに次の担い手を育てたい

今年度より水稲共済が任意加入となりましたが、山林付近に圃場が多い八木町日置地区は、毎年、イノシシやシカによる被害に悩まされるので、水稲共済は必要です。

新たに始まった収入保険制度は、農家が安定した収入を確保するためには素晴らしい保険ですが、青色申告農家が対象であることから、小農家が多いこの地区では加入できない人が多いのが残念です。

私は父から30歳の頃に圃場を受け継ぎ、仕事をしながら農業を行っていました。57歳から専業農家になり、お客様のニーズに応えるため食味や品質にこだわった米作りに取り組んでいます。

農業者の高齢化や離農により圃場が年々増え、地域の後継者不足を感じました。

地域の圃場は大農家だけでは守れません。山際の畑や雑草の管理など、小農家がいて守られてきたと思います。地域を守るためにも後継者を育成していく環境を整えていくのが今後の課題です。

農業は大変な仕事ですが、収穫の喜びを得るために地域で協力し合って楽しく農業をすることが私の目標です。

▽あさだ きよつぐ▽京都府農業共済組合京都支所▽共済部長歴2年▽担当戸数34戸▽水稲520アール、黒大豆10アール▽62歳

2020年2月2週号

人と笑顔が集まる経営

株式会社バニーズファーム 木津川市

「人と笑顔を大切に。人が集まれば一人ではできないことも行える。笑顔があれば辛いことも乗り越えられる」が経営理念と話す木津川市の株式会社バニーズファーム取締役会長の堀田幸希(こうき)さん(44歳)。主婦層や定年退職者など、地域住民が気軽に働ける場を作り、人と笑顔が集まる農業経営を目指す。

株式会社バニーズファーム 木津川市
自慢のネギ畑でキャラクターのウサギを手にする佐藤社長(左)と堀田会長
株式会社バニーズファーム 木津川市
出荷作業中の職場。和気あいあいとしながらも作業は着々と進む
株式会社バニーズファーム 木津川市
ネギは5キロ入りの箱で出荷

株式会社バニーズファームは今年1月に法人化した。現在就農5年目の堀田会長と、就農3年目の取締役社長・佐藤亜希也(あきなり)さん(32歳)が2018年に共同で農業経営を始めた。

2人の出会いは、同市で同じナス部会に所属していたこと。ともに脱サラし、就農時期も近い。同じ卯年(うさぎどし)で軽トラックも同じ車種。すぐに意気投合した。社名は卯年にちなみ、バニーズファームと名付け、キャラクターのウサギは堀田さんの長女の千晴さん(13歳)が制作した。

地域への思い強く

2人が懸念するのは、地域に遊休農地が目立ってきたこと。「農地を活用し、自分たちで地域を活性化させたい」との思いが強くなった。

まず、栽培計画が立てやすく、土壌が適していたネギに着目。宇治市のネギ農家で佐藤社長が1年間研修を受け、栽培技術の習得に努めた。

生産拡大し雇用増へ

現在、3.5ヘクタールの露地でネギの周年栽培に取り組む。水稲栽培(50アール)と組み合わせ、連作障害を防ぎながら、品質を追求している。

販売先は加工会社との契約栽培。1回に300~500キロを目安に出荷している。また、堀田会長はさらなる契約先を求め、営業に励んでいる。

現在、パート7人が収穫や出荷作業を手伝う。リーダーを務める矢野義彦さん(46歳)は「月1回バーベキューをするなど、家族のようです。発言した意見が通るなど、働きやすい職場です」と笑顔で話す。

「今後は5ヘクタールまで面積を拡大し、灌水や収穫作業に機械を導入して効率化させたいです」と話す堀田会長。佐藤社長は「研修生の受け入れや地域の主婦層など雇用を増やし、今年は売上げ5千万円を目標に頑張りたい」と、2人の挑戦は続く。

2020年1月4週号

栽培と直売 ブドウ愛を伝えたい

「きらファーム」山本夫妻 京丹後市

「きらファーム」山本夫妻 京丹後市
「ここから見るブドウ畑の景色は最高です」と山本さん
「きらファーム」山本夫妻 京丹後市
亜美さんのオリジナルデザイン

京丹後市弥栄町の山本剛さん(45歳)・亜美さん(36歳)夫妻はブドウ栽培と直売に取り組み、「お客さまと会話を大事にして、私たちのブドウへの思いを伝えたい」と口をそろえる。

剛さんは以前、外国でシェフを務めていた。ワイン好きが高じてブドウに夢中になり、一念発起して就農した。6年目の現在、国営農地80アールでシャインマスカットやピオーネを中心に10種類のブドウを栽培する。

昨年8月には自宅横に販売所をオープン。「自分たちが一番おいしいと思う食べ頃をお客様に食べてもらいたい」と直売の魅力を話す。

高校で美術科を専攻していた亜美さんは、販売所の看板や箱、店のロゴのデザインやチラシ作りを手掛ける。

「お客さまに毎年楽しんでもらえるよう、箱のデザインはあと3パターン欲しいですね」と笑顔の剛さんに「無茶ぶりやわ」と亜美さん。「弥栄町のブランドになれるよう頑張りたい」と精を出す二人だ。

2020年1月1週号

農家の心意気を新年に

荒木 剛一さん 福知山市

荒木 剛一さん 福知山市
丁寧に編み上げる荒木さん
荒木 剛一さん 福知山市
上から順に「ゴンボ」、中段右が「メガネ」、下段2つは「神棚用」

年末はしめ飾りの出荷に向け忙しさが加速する福知山市の荒木剛一(こういち)さん(77歳)。もち米の稲わらを使い、玄関用の「ゴンボ(ごぼう注連(じめ))」100本、「メガネ」200本、神棚用35本のしめ飾りを製作する。

綾部市のJA京都にのくに農産物直売所彩菜館から出荷を頼まれ、本格的な生産を始めて6年目。10月中旬からしめ縄を編み始めるが、ミカンやウラジロ、サカキやマツなどの飾り付けは傷まないよう12月20日から出荷前日の26日までに仕上げる。そのため、夫婦で早朝から深夜まで飾り付け作業に追われるという。

しめ飾りは、しめ縄が厄や災いを祓う結界の意味を持ち、飾りは良い年を迎えるための様々な願いを意味している。荒木さんはその思いを大切に、丁寧な製作に努めている。

出荷が終わると、個別に依頼されたものは自らが飾りつけに廻る。「飾り終え、喜ぶ顔を見るとほっとします」と満面の笑みを見せる。

しめ飾りの作業が終わると、妻・静香さんは息子たち家族を含めた3軒分お節作りが1年で一番好きな時間という。

「今年もお節どろぼうが来るのよ」と大笑いする荒木家のお正月は、空のお重を持ち寄りお節を詰める31日が一番の大賑わいとなる。

2019年12月2週号

夢はイチゴの観光農園

上羽裕樹さん 京丹後市

上羽裕樹さん 京丹後市
「家族のためにも頑張りたい」と上羽さん

京丹後市の上羽裕樹(うえはひろき)さん(29歳)は今年の4月に新規就農し、現在、ハウス2棟のイチゴ栽培を中心に、水稲90アール、露地でブロッコリー35アール、「堀川ごぼう」5アールを栽培している。

大学卒業後は静岡県の種苗販売会社で5年間農家周りを経験した。そこで、ひたむきに頑張る農家さんの姿を見て、「自分もやってみたい」と一念発起。農業を継ぐため、昨年の夏に実家へ戻った。

両親と作目は違うが、丹後地域では比較的珍しく静岡に多いイチゴ「紅ほっぺ」を選択。営業時代のイチゴ農家に倣い「やるなら、おいしく喜ばれたい」と気合が入る。

今は土づくりで牛糞を多くするなど試行錯誤の真っ最中。

「就農したてでまだ知識もなく、不安なことが多いですが、当面はイチゴの栽培面積を徐々に拡大し、将来は高設栽培による観光農園を目指したい。地域を活性化し、丹後に多くの人が来てくれるように頑張りたい」と目標を掲げる。

2019年11月4週号

作る喜び満喫

山本さん夫妻 福知山市

山本さん夫妻 福知山市
「イチジクやクリにチャレンジしたい」と話す一輝さんと、「ハーブ作りが大好き」という真由子さん

「自分の食べたいものを自分で作れることが農業の一番楽しみ」と話す山本一輝(かずき)さん(38歳)は、京都府の農業担い手支援事業(農林水産業ジョブカフェ)で紹介された福知山市日尾(ひのお)集落に家族で移住し、就農して3年目。水稲20アール、露地22アールでキュウリやエビイモなどさまざまな野菜を作付けている。

地元の「みたけ農産」で2年間、営農の技術指導を受けながらキュウリなどの栽培技術を学んだ。

就農することには全く不安を感じなかったという妻・真由子さん(34歳)は「収穫した作物を直売所などに並べお客さまに買っていただけることが喜びです」とやりがいを感じている。

妻の手料理で私の野菜もよく食べてくれます。「おいしい」と言ってくれるとやっぱりうれしいですね。

日尾集落はシカやイノシシによる食害が深刻な問題。「就農するまで想像できなかった」と、山間地の獣害対策の難しさを実感している。

野菜だけでは価格の変動が大きく収入面に不安があるとして、「今後は一年を通して安定した収入を得られるように、果樹栽培やハウス栽培にもチャレンジしたい」と意欲を見せる。

2019年11月3週号

農業にも興味津々

岡本寛太くん(12歳)、椋太くん(7歳) 伊根町

岡本寛太くん(12歳)、椋太くん(7歳) 伊根町
「カブのシチューが好き」とひょうきんな性格の弟の椋太くん(手前)と、「ホウレンソウのサラダが好きです」と兄の寛太くん。
岡本寛太くん(12歳)、椋太くん(7歳) 伊根町
カブの出荷を手伝う岡本兄弟

父・逸平さんから一言

兄は大人しく真面目な性格で弟は明るく元気いっぱい、正反対のような性格です。

今は小学校の授業で田植え、稲刈り体験や米生産農家へ話を聞きに行くなど、農業に触れ合う機会も多く、それを通じて自分の仕事に興味を持ってくれています。

ただ、最近では気候が変わってきているせいか、栽培が難しく品目に応じた対策が必要になってきました。

妻の手料理で私の野菜もよく食べてくれます。「おいしい」と言ってくれるとやっぱりうれしいですね。

今はまだ小さいので将来の夢はころころ変わっていますが、自分のやりたいことを早く見つけてその道を突き進んでほしいですね。

最近では集中豪雨や台風による水害が多発傾向なので収入保険制度が重要になってくると思います。また、農業者の病気やケガによる収入低下の場合にも補償の対象となる点も心強い制度だと思います。

▽経営規模=ハウス17棟(小カブ、ホウレンソウ、ミズナ)

2019年11月2週号

病気やケガの時に心強い農業保険

小林 賢礼さん(41歳) 木津川市

小林 賢礼さん(41歳) 木津川市
「仲間と情報交換し、栽培技術に生かしています」と小林さん

私の住む木津川市山城町上狛では主に軟弱野菜の栽培が行われています。

私は父と共に現在、水稲・ミズナ・キクナ・ホウレンソウ・コマツナの栽培を行い、京都・大阪方面の市場への出荷・契約販売が主な販売となります。

年間を通じて出荷するため、品目が連続しないよう栽培ローテーションに気を遣いながら作付けを行っています。

ただ、最近では気候が変わってきているせいか、栽培が難しく品目に応じた対策が必要になってきました。

同町内の20~50代の16人で構成する「農盛会」(のうせいかい)に所属しているので、情報交換して問題の解決や栽培技術の共有を図っています。

日々の共済部長の活動では、園芸施設共済や農機具共済の普及を図り、集落内で情報提供をしています。

最近では集中豪雨や台風による水害が多発傾向なので収入保険制度が重要な制度になってくると思います。また、農業者の病気やケガによる収入低下の場合にも補償の対象となる点も心強い制度だと思います。

山城支所
 共済部長歴2年
 担当戸数21戸
 水稲43アール、軟弱野菜100アール(パイプハウス21棟)

2019年10月4週号

労を惜しまず 味に自信
特別栽培の丹後産コシヒカリ

京丹後市 安達 和彦さん

京丹後市大宮町の安達和彦(あだちかずひこ)さん(60歳)は、「丹後産コシヒカリ」を生産する農家だ。農薬を極力抑え、化学肥料を使わない特別栽培で生産し、品質、味ともに好評を得ている。

京丹後市 安達 和彦さん
収穫直前に今年の出来栄えを確認する安達さん
京丹後市 安達 和彦さん
炊きたてはもちろん、冷めてもしっかりとした米の風味が残り、おいしいと評価が高い
京丹後市 安達 和彦さん
「9月中旬から新米の出荷が始まりました」と安達さん

丹後産コシヒカリは日本穀物検定協会が実施する「米の食味ランキング」で、平成元年以降の最高峰、「特A」を12回取得し、おいしさには定評がある。安達さんが住む久住(くすみ)地区も丹後産コシヒカリの産地の一つ。山からの冷たい水を利用し、昼夜の寒暖の差という気候条件を生かし、おいしい米づくりを手掛けてきた。

また、食味に加え、安全・安心にこだわった特別栽培米も生産されるようになり、安達さんも10年前からその一員として生産に励む。

安達さんは、25歳から兼業で60アールの稲作を引き継ぎ、栽培を行ってきた。3年前には退職を機に面積を拡大。現在、1.45ヘクタール全てを特別栽培米として作付けしている。

「肥料散布が特に骨の折れる作業です」と安達さん。「使用している肥料は、一般的な田植機に装着する施肥機では散布できないので全て手散布です。この作業を収穫までに4回行わなければならないんです」と話す。

「苦労も多いですが、こだわって栽培する農産物には魅力がある」と、努力は惜しまない安達さん。「正直、特別栽培米は肥料のコストもかかるし手間もかかる。ただ、生産した米には自信があるので、胸を張って出荷ができる」と生き生き話す。

JA京都大宮支店の袖長欣也(そでながきんや)生産課長は「手間をかけた特別栽培に安達さんは長年取り組んでいてノウハウもある。なにより米の味が良い」と高く評価する。

有機肥料を手散布する特別栽培は重労働なうえ、大宮町地区では高齢化も影響し、同じ手法に取り組む特別栽培米農家は5戸から3戸に減少してしまった。

安達さんは「規模拡大し、地域の農地の維持に取り組んでいます。可能な限り努力し、おいしい特別栽培米の生産を続けていきたい」と意欲的に話す。

2019年10月3週号

こだわりの卵を多くの人に 採卵鶏を平飼い

湯浅 拓さん 南丹市

湯浅 拓さん 南丹市
「鶏舎の衛生管理には気を使っています」と湯浅さん
湯浅 拓さん 南丹市
湯浅農園の鶏卵は一般的な赤玉(左)より黄身が白っぽいのが特徴
湯浅 拓さん 南丹市
火を通すと色の違いがよくわかる

消費者に安全・安心な卵を届けることをモットーにする南丹市の湯浅拓さん(40歳)。湯浅農園の4代目として父と共に平飼いの鶏舎で純国産鶏「もみじ」を2200羽飼育し、卵を年間約22万個出荷している。

3年前より配合飼料のトウモロコシを飼料用米に変更し、経費削減に努める。鶏卵は鶏が食べた飼料の色素が黄身に定着するので、黄身は薄いレモン色だ。餌に混ぜる魚粉などは無添加で保存料の無いものを購入。米ぬか、油粕などのエコフィードを自家配合し地産地消も心掛けている。

平飼い鶏舎内には、孵化(ふか)直後の雛から採卵成鶏まで発育ステージの違う個体がたくさんいるため温度管理と病気の防除に力を注ぐ。独自の生産方法が認められ、京都府が定める「京のこだわり畜産物生産農場」に登録されている。

湯浅さんは「こだわりの卵をもっとたくさんの人に食べてもらいたい」とさらなる販路拡大に挑む。

2019年9月4週号

芯を耕す 努力の先の成功へ
おいしさを全国に

木津川市 株式会社秋田農園

農業経営の確固たる思いを言葉にした「経営理念」。それを「芯」に、強い農業経営を目指して努力する経営者がいる。株式会社秋田農園の代表取締役 秋田佳英さんもそのひとりだ。

木津川市 株式会社秋田農園
おかげ様で山城のねぎの発注が増えて嬉しいです」と秋田
木津川市 株式会社秋田農園
左から青ねぎジェノベーゼ風「ねぎベーゼ」、コチュジャンのピリ辛がアクセントとなった「ねぎ味噌」、炒め物や煮物の隠し味に「ねぎジャム」
2017年平成29年度京の食六次産業化コンテスト 特別賞受賞

経営理念「社員の成長、会社の成長によって、秋田農園に関わる全ての人が物心両面において豊かである会社でありたい」

木津川市の株式会社秋田農園(役員5人、社員・パート11人)の代表取締役秋田佳英さん(34歳)は、九条ネギの生産量・流通量が拡大するなか、先代から引き継ぐ自社ブランドの青ネギ「山城のねぎ」を自分の代で有名にしたいと決意。2018年に経営を引き継ぎ、法人化し、現在ハウス(21棟)と露地を含め3ヘクタールで約2作、年間90トンを生産している。

経営理念の冒頭にある「社員の成長」は、社員の生活を守りたいとの思いが込められていて、その思いが法人化の一番のきっかけとなった。

秋田さんの山城のねぎへの思いは熱い。「山城のねぎは砂地で育つため生命力が強く、長持ちし、品質管理も徹底しています。ねぎ本来の風味や甘味がしっかりし、ねぎ好きのねぎ」と食べ方を薬味にとどめず、ねぎが主役になるレシピを公開(以下のお問い合わせのインターネットサイトを参照)。

ことに生ねぎを使った「ねぎナムル」のおいしさに感動し、多くの人に知ってもらおうと商品化に挑んだ。ねぎナムルは加工品として再現できなかったものの、お土産用の「ねぎベーゼ」「ねぎジャム」「ねぎ味噌」といった自信作が生まれた。

作業を効率化させるため、機械の導入や作業場のバリアフリー化などを行った。また、栽培日誌をデータ化することでこれまで見逃していた詳細な情報を目で確認できるようになった。そこで栽培戦略を見直し、規模拡大と年間通じた安定生産を図ることができた。法人化し、雇用体制を整える事で秋田さん自身に時間ができたので、自ら営業にでかけ、山城のねぎのおいしさや品質の良さを宣伝している。

「今後はお茶の堆肥を使った独自の栽培方法にもこだわり、法人化3年目に売上1億円を達成したいです」と気合が入る。

お問い合わせ https://www.akita-farm.jp/

2019年9月3週号

丹後実践型学舎で就農の夢を実現

泉 和樹さん 京丹後市

泉 和樹さん 京丹後市
「九条ネギの収穫時期を迎えます」と泉さん
泉 和樹さん 京丹後市
加工キャベツの苗づくりは温度管理が大切

京丹後市の泉和樹さん(25歳)は今年3月に丹後農業実践型学舎を卒業し、就農。現在、加工用キャベツを中心に、カボチャやダイコンなど露地野菜を2ヘクタール栽培している。

泉さんは高校卒業後、農薬を使わない米栽培の管理の仕事に就いていた。しかし、「休日も農業に携わりたい」と思うように。そんな思いをくみ取った同学舎の講師で農業者の岩狭眞さん(65歳)は、栽培技術や経営について学べる同学舎を勧めたという。

加工キャベツの苗づくりの温度管理に失敗し、発芽しない経験もした泉さん。それでも「苦労した分、収穫した時の喜びは大きい。今後はきれいなキャベツを作り、収量も安定させたい」と目標に向かって努力している。

今でも互いに手伝うことがある岩狭さんは「栽培技術を貪欲に吸収してほしい。地元で頑張る学舎の卒業生たちとともに、地域の農業を支える後継者になってほしい」と期待している。

2019年9月2週号

制度普及の力になれれば

富室 政幸さん 舞鶴市

富室 政幸さん 舞鶴市
「若者に魅力のある農業の制度や施策を望みます」と富室さん

私が住む堂奥(どうのおく)地区は川沿いに開けた平地で主に水稲を栽培する地域です。

幸いにもそれほど多くの耕作放棄地は発生していませんが、周辺には管理が続けられない圃場が目立つようになってきました。

高齢化が加速する中で次代を担ってくれる40代~50代の若い力を見つけていくことは急務と考えていますが、難しいのが現状と言わざるをえません。若い人たちにも魅力を持って農業に取り組んでもらえるような制度・政策を望んでいます。

私は現在、出荷は行わず家で消費する分の水稲、野菜を作付けしています。遠方にいる子供たちに野菜を送ってやるのは大きなやりがいになっています。おいしいと言ってもらえると本当に嬉しいですね。

農業共済には数年前にイノシシの被害で収穫ができなくなった時、助けていただきました。

農業保険は鳥獣害や大雨など自然災害が多発するこの時代には無くてはならないものだと思います。制度の普及に少しでも力になれればと思い、仕事をさせてもらっています。

とみむろまさゆき
中丹支所
共済部長歴1年
担当戸数35戸
水稲50アール、露地野菜(トマト・きゅうり・ナス・スイカ・白菜・大根等)7アール
71歳

2019年8月4週号

住民一丸で管理・点検体制
獣害が減少

京丹波町 中台集落

中山間地域での農業は獣害対策が必須となるなか、京丹波町中台集落は、電気柵による防除と檻での捕獲を組み合わせ、管理と点検の協力体制を確立し、獣害対策で成果を上げている。

京丹波町 中台集落
獣害対策部長の山﨑さん
京丹波町 中台集落
大型檻。捕獲した獣は檻の管理責任者である集落内の猟師1人と猟友会員1人が駆除する。また仕掛けの設置も行う
京丹波町 中台集落
捕獲状況や足跡などの情報をこまめに提供し、部員内の情報共有を図る。

中台集落は、山に囲まれた谷地が集まる集落のため、長年シカとイノシシの被害に悩まされ、1994年から獣害対策組織を作り金網の設置などの対策を行ってきた。

しかし「防除だけでは限界。捕獲しないと被害が減らない」と、現・中台農家組合(34戸)の獣害対策部が中心となり、2010年から行政や猟友会と共同で檻の設置を行った。同組織は08年に農家組合に統合し、13年から檻を2基ずつ増やし、現在は町が管理する大型檻7基と個人が管理する小型檻4基を設置している。

獣害対策部長の山﨑建男(やまざきたてお)さん(67歳)は「檻を設置しても管理を怠れば獣は捕まらない」と、人員確保して日々の負担を軽減することや部員の意識付けに時間をかけた。

檻の状況確認 管理動の草刈りも

現在、檻の管理は組合役員5人と協力員7人の計12人。一人あたり月3回の当番制で猟期(11月15日~2月15日)を外した年間約250日作業する。内容は設置した檻の捕獲状況の確認と、米ぬかなどの新鮮なエサの補充、獣の足跡の確認や、管理道の草刈りなどを行う。

捕獲数は共同設置前の08年には17頭だったが、設置後の13年には過去最高となる87頭を記録。その後は年間50頭前後で推移し、10年間で400頭以上の実績を上げている。捕獲率を上げるため、小型檻で餌付けを行い大型檻で捕獲する作戦も行った。

「電気柵の普及と檻での捕獲で水稲の獣害はほとんどなくなりました。部員の日々の努力で獣が捕獲でき、成果があがるとやっぱり部員も嬉しい」とやりがいを感じている。

山﨑さんは「捕獲は目的ではなく手段。防除と捕獲で集落の被害を少しでも減らし、組合員と協力して農地を守っていきたい」と意気込む。

京丹波町農林振興課の小山潤係長は「熱心に獣害対策されているので成果につながっています。今後も応援していきたい」と話す。

2019年8月3週号

もち米の加工で経営安定に挑む

関 徳義さん 亀岡市

関 徳義さん 亀岡市
もち米の品種「新羽二重糯(もち)」を使ったもちを手に関さん
関 徳義さん 亀岡市
赤飯は塩味がほどよくおいしい

亀岡市の関徳義(あつよし)さん(43歳)は、母親とともに水稲8ヘクタール、を中心に黒大豆55アール、小豆20アール、和牛肥育(4頭)に加え、もちや赤飯などの加工で安定した経営を行う。

「加工は母親が望んでいたこと。叶えられて嬉しい」と、2015年に加工場を新設し、現在祝い行事の紅白餅や、赤飯など注文が定着してきた。

関さんは、保育所や幼稚園の稲作体験を受け入れている。「お米が食べられなかった子供が、体験後に食べてくれるようになったと聞くと、本当にうれしい」と、体験後の子供や父兄の意識の変化に喜ぶ。

「人が生きるためのエネルギーを生み出す農業に就いていることをうれしく、また誇りに思う」と農業の魅力を話す関さん。「今後は、父がしていたような安定した品質を追求したい」とし、「収入保険にも加入したので加工に使う農作物の品目も安心して増やせる」と気合が入る。

2019年7月4週号

地元の味「黒豆の粕漬け」復活

大江町毛原集落の女性グループ 福知山市

大江町毛原集落の女性グループ 福知山市
加工に携わる女性メンバーたち。後列左が水口さん
大江町毛原集落の女性グループ 福知山市
黒豆のほんのりした甘さと、粕の芳醇な香りが食欲をそそり、珍味としてもご飯のお供にもピッタリ
大江町毛原集落の女性グループ 福知山市
オリジナルパッケージはグループメンバーをイメージ

福知山市大江町毛原で地元の珍味として親しまれてきた「黒豆の粕漬け」が30年ぶりに復活した。地元の女性11人が、残っていたレシピをヒントに試行錯誤を重ね商品化させた。

豆の煮加減と発酵時間のバランスが味、食感の決め手となる。軟らかく煮た豆が人気だが、煮すぎると皮が裂け、商品化できない。また、練り粕に漬けた時に熟成が足りないと舌ざわりが悪くなる。発酵期間は時期により3カ月から半年が最適だと分かった。

豆がつぶれないよう計量して袋詰めする作業は、女性ならではの細やかな手作業で行う。出来上がった商品は1袋500円で直売所やイベントで販売される。

復活を提案した水口裕子(ひろこ)さん(57歳)は「毛原は日本の棚田百選に選定されています。地元をアピールできる懐かしい味が商品化できた思いはひとしお」と喜ぶ。

現在、地元産のタマネギの粕漬けを考案中だ。

2019年7月2週号

高品質を切れ目なく出荷

久乗 孝文さん 久御山町

久乗 孝文さん 久御山町
「農業はすべて自分で決められる反面、責任が自分に返ってくる」と話す久乗さん

「年間通した安定出荷と品質の維持がモットーです」と話すのは久御山町の久乗孝文さん(51歳)。コマツナ約70アール(ハウス12棟、5連棟ハウス1棟)、「九条ねぎ」約70アール、水稲約70アールを栽培する。

コマツナの栽培は22歳の就農当初から経験を積む久乗さん。「ハウス栽培は土壌に肥料成分が残りやすいので、施肥し過ぎないよう注意します」と品質維持に努める。

また、安定した出荷量を保つため、約10年前に久御山町野菜出荷組合を設立。当初3人だったメンバーは今では17人に増えた。

良質のコマツナを年間通して出荷できるよう組合内で3~4品種を選定し、夏場と冬場で品種を変えるという。

3年前から需要の高い九条ねぎの栽培も始めた。露地栽培は天候に左右され苦労するが、今年は順調だ。

「将来は息子が後を継いでくれる予定で、規模拡大を図っていきたい」と意気込む。

2019年6月4週号

地域農業の維持に努めたい

山崎 康則さん 与謝野町

山崎 康則さん 与謝野町
「農地を維持すれば次には規模拡大もできる」と山崎さん

下山田下地地区は水稲栽培が盛んです。獣害に苦しめられていたこの地域は山際にフェンスを設置することでイノシシの農地への侵入を防いできましたが、近年は集落を流れる川からの侵入が増加し防除に苦労している現状です。

現在、私は家族3人で水稲と露地野菜の栽培を行っていて、冬にはビニールハウスで「九条ネギ」・シュンギクなどを作っています。集落は農家数が減少し、農地を荒らさず管理するのが難しくなっていますが、少なくとも現在耕作している農地については荒らさず維持していきたいですし、維持すれば規模の拡大も目指せます。

昨年の平成30年7月豪雨では、この地区も田んぼや住宅の冠水・土砂の流入がありました。我が家の作業場も冠水し、動かせる農機具はなんとか動かして対応しました。

近年の天候の変化は激しく本当に何が起こるかわからない。農業保険の必要性が増加しているのを実感しています。冬は雪も多い地域でビニールハウスの倒壊も心配されますし、農業保険への加入を含めて地域の農業を維持していきたいです。

やまざきやすのり
京都府農業共済組合丹後支所
共済部長歴6年
担当戸数11戸
水稲1730アール、ビニールハウス5棟、露地野菜50アール
50歳

2019年6月3週号

ワーキングホリデー制度を活用
繁忙期の人材を確保し規模拡大へ

株式会社Season 福知山市

農業の経営規模を拡大するうえで、人材確保は重要な問題だ。福知山市の株式会社Seasonは、この悩みをワーキングホリデー制度(以下「ワーホリ」)の活用で解決し、規模拡大を図り地域農業の振興を目指している。

株式会社Season 福知山市
「ワーホリを活用した農業に関心のある方を研修生として迎え、積極的に就農支援しています。ぜひ活用してほしい」と久保さん
株式会社Season 福知山市
「社長は優しいです」と日本語で話す台湾と香港の若者たち(前列)
後列は久保さん(左)と専務取締役の松村さん

株式会社Season 福知山市
万願寺甘とう。長さ13センチ~23センチの色つやの良い秀品の収量増を目指す

株式会社Seasonは「農業を持続可能な産業に、笑顔と野菜を育む会社になる」が経営理念。代表取締役の久保世智(ときのり)さん(38歳)は、理念通り楽しみと挑戦を武器に経営を展開する。

久保さんは2014年に同社専務取締役の松村賢三さん(35歳)と共同経営する形で就農。地域の特産「万願寺甘とう」の可能性に引かれ、当時2400株から法人化した17年には8千株に。今年は導入したハウス3棟と露地60アールで1万3千株まで増やし、40トンの出荷を目指す。

規模拡大するうえで最大の課題は繁忙期の人材確保だった。万願寺甘とうの収穫は5月から12月までと長い。地域で労働力の確保を試みたが難しく、たどり着いたのがワーホリだった。「正社員の雇用が難しい農業はワーホリととても相性がいい。繁忙期に若者の力を活用できる」と久保さんは絶賛する。

台湾、香港から受け入れ、会員制交流サイト(SNS)を使い自社での就労をアピール。その後、WEB面接や現地での面接を行い人選している。経験者のコメントがPRになるなど人気だ。

芽かき作業や収穫作業を中心とし、労働意欲を上げるため、みんなで1カ月の収穫目標を達成すれば焼肉に行くなど楽しみも忘れない。

今年は4月から10人が時期をずらして滞在し、同法人が購入し整備した空き家に泊まり、車も用意されている。

経験値の高いリピータースタッフを迎えるために就労ビザの申請や、地域で人材確保に困る農業者の支援ができるよう職業紹介業の資格取得に向けた準備も進める。

「今後は品質の向上に尽力し、違う品目にも挑戦したい」と意欲に満ちあふれる。

同市三和支所の大槻直人推進員は「地域の農業振興に向け頑張ってほしいです」とエールを送る。

〇ワーキングホリデー制度

ワーキングホリデー制度とは、日本と協定を結んでいる国や地域の文化や一般的な生活様式を理解するため、その国に長期滞在する事ができる制度。滞在中に「観光」「就労」「就学」を自由に経験できることが特徴。

2019年6月2週号

確かな品ぞろえが評判

小島敬久さん 亀岡市

小島敬久さん 亀岡市
「出荷先の信頼が得られ、やりがいを感じています」と笑顔の小島さん
小島敬久さん 亀岡市
「苗テラス」と呼ばれる育苗装置で安定した苗作りを行う

亀岡市で就農4年目の小島敬久(たかひさ)さん(32歳)は、ハウス2棟(5アール)でフリルレタスを中心とした農薬を使わない水耕栽培に取り組む。

「食の重要さ」に関心があった小島さんは、大学、大学院で水耕栽培の研究を深め、そこで得た知識が活用できる就農を決意した。「水耕栽培には、ビニールハウスに加え、専用の機材と環境が必要だったので、初期投資がかなり高額になり、不安なスタートでした」と苦笑いする。

2日に1回播種し、季節や時間によって、培養液の濃度を調整する。追肥することで、発芽率の向上に努め、現在では1日200~300個を安定して収穫し、直売所や料理店に出荷している。「出荷先からの注文に必ず応えることができる安定感が私の農業の方針です」と自信を見せる。

欠品のない品ぞろえは出荷先からの評判も上々で、新たな依頼もあり、今夏からハウスを5棟新設し、イチゴ1万2千株の高設栽培を手掛ける。

2019年5月3週号

次代へつなぐ農 親から子へ
独自ブランドで有利に

山野勝彦さん、賢一郎さん 京丹後市

山野勝彦さん、賢一郎さん 京丹後市
「まいこ金時は『おいしい』と評判です」と自信をいっぱいの山野親子

「家業を継げるだけの安定した経営基盤づくりを意識してきた」と話す京丹後市の山野勝彦さん(53歳)。10年前、長男賢一郎さん(30歳)の就農と同時にサツマイモ「まいこ金時」ブランドを立ち上げ、栽培技術や品質の確立、販路開拓をともに行った。

まいこ金時は山野さん方の商標登録された甘藷。「砂丘で栽培するため、表面がツルツルしていて、甘味が増しおいしいと評判です」と自信を持つ。

賢一郎さんは「父の経験値には叶わない。農業は毎年作る条件が違うため、追肥や生育工程については感覚が物を言う。父に相談できるのは親子でやる強みだと思う」としながらも、父親が数年かけて開墾しようとした畑を1年で行うなど、意欲と勢いという強みを生かす。

勝彦さんは安定した市場出荷を主とし、賢一郎さんは市場外の出荷で需要を伸ばし、ともに協力しながら別々の経営を行う。今は芋つるの販売も伸び、需要はますます高くなっているという。賢一郎さんは「今後は面積を倍の6ヘクタールに増やし、品質の維持と生産量を高めていきたい」と話す。

<経営規模>
勝彦さん=甘藷2.2ヘクタール、ハウス10棟(ユリ・砂丘メロン)
賢一郎さん=ユリ14棟、甘藷2.4ヘクタール

2019年5月2週号

農業で第二の人生

鉄尾富士男さん 舞鶴市

鉄尾富士男さん 舞鶴市
繁忙期は10人を超える地元住民に作業補助を依頼。「働く場であり、寄り合いの場になれば」と笑顔の鉄尾さん

「地域に根差し、収入を確保できる農業を目指していきたい」とほほ笑む舞鶴市の鉄尾富士男さん(65歳)。

消防士として市民の安全を守ってきた鉄尾さんは第二の人生に農業を選択。「人が少なくなる地域に元気を取り戻したかった」と2017年3月に未経験ながらハウス6棟を新設し、周囲を驚かせた。

同年10月の台風21号による強風でハウス2棟が跡形もなく吹き飛び、「自然の驚異を目の当たりにしました」。ショックを受けたが、元来くよくよしない性格。すぐにハウス2棟を再建した。

現在は地域特産の「万願寺甘とう」12.5アールを中心に栽培。定植後はハウス内の温度管理に最も気を使う。最近では生産者の「LINE(会員制交流サイト)」に参加し、他の生産者から次々と投稿される温度計の画像を参考にしている。

近い将来、法人化を目指し、6次産業化への参入なども視野に入れるなど、「攻めの農業」に地域を挙げて取り組む。

<経営規模>
万願寺甘とう 12.5アール
小豆100アール
野菜37アール(カボチャ、キュウリ、ダイコンなど)

2019年4月4週号

農業の道をまっしぐら

白石真也さん 亀岡市

白石真也さん 亀岡市
「一緒に田舎に住んで農業しよう」という暁子さん(左)に感謝しているという白石さん
白石真也さん 亀岡市
「早く一人前の農家になりたい」と真剣に作業する白石さん

「人生一度きり。後悔しないよう農業で生活していきたい」と話す白石真也さん(49歳)は、亀岡市に家族と共に移住し、現在、「長澤農園(代表・長澤忠夫さん=74歳)」の研修生として2年目を迎える。

農業と無縁の仕事に就いていたが、借りていた畑で野菜栽培などのアドバイスや魅力を聞くうちに、就農への思いが膨らんでいった。自然の中で子育てしたいという思いや、妻・暁子さんの後押しで就農を決意できた。

研修最終年の今年はホウレンソウやトマト、キュウリなど多品目の栽培管理を区画ごとに任されている。他にもハウス2棟を借りて野菜の栽培技術の習得に励む。

昨年は相次ぐ台風や河川の氾濫で農業被害に遭い、自然の怖さを経験した。それでも消費者の笑顔が支えになり、頑張れたという。

「仕事と家庭両面を支えてくれている妻のおかげです。これからもっと農業を勉強し、成長したい」と気合が入る。

2019年4月2週号

自家産米粉使用のたこ焼きで6次化にまっしぐら

浪江寛資(なみえともよし)さん 与謝野町

与謝野町の浪江寛資(なみえともよし)さん(34)は、稲作を本業としながら、農家レストラン「焔(ほむら)」を 経営し、昨年6月、2店舗目となる与謝野店をオープンした。「米粉たこ焼き」を目玉商品で、地元農産物を使った商品開発も進めようと努力を重ねる。

浪江寛資(なみえともよし)さん 与謝野町
「『焔(ほむら)』の由来は、炎の旧字体で、火のある所にうたげがあり、そこから出会いが生まれ、それが商売につながるとい う思いから名付けた」と浪江さん。
浪江寛資(なみえともよし)さん 与謝野町
米粉たこ焼き。めんたいマヨソースや地元産のネギ盛りが人気
浪江寛資(なみえともよし)さん 与謝野町
導入したばかりのキッチンカー

浪江さんは、妻の祖父・文夫さん(88)が高齢になったことから2013年に農業を継ぎ、現在、水稲8.2㌶、キャベツ29㌃を作付している。

生地の米粉は玄米生地から上白精米した生地に改良し、「外はカリッと、中はトロトロな食感に仕上がっています」と自信を見せる。

たこ焼きソースは種類が豊富で、ソースやしょうゆの他、めんたいマヨソース、タルタルがけやオムレツのせなど17種類と多数取り揃える。

農繁期でも、日中は、文夫さんに水管理や肥料散布などを手伝ってもらいながら、農作業を行い、夕方から店舗を従業員1人、パート2人と共に切り盛りをする。

「しんどいけれどやる気があればできる」と気合の入る浪江さんを、文夫さんは「農業は天気次第で段取りが変わる。うまく両立できるよう頑張ってほしい」と応援する。

今年4月からキッチンカーを導入して、積極的にイベントに参加する予定だ。

現在は地元の農業法人と連携し、米粉で作った餃子を試作中だ。将来的には、株式会社化も視野に入れ、地元の農産物を使った商品を開発し販売する「農業の6次産業化」を目指す。「地元で栽培したものを使っているので、安全・安心に自信があります。農家として、自分の商品をいろいろな人に味わってもらい、『地産多消』を進めたい」と意気込む。