2018年度

2018年度

2019年3月4週号

茶産地の冬の味 花菜

中尾 彦弘さん 和束町

中尾 彦弘さん 和束町
「出荷時期は11月下旬~4月中旬」と話す中尾さん

茶農家の冬期収入源の1つとして20年前から花菜(20アール)の栽培を手掛ける和束町の中尾彦弘さん(81歳)。町内の18戸の農家とともに2ヘクタールを栽培し、現在、出荷の最盛期を迎える。

品種は収量や色合いが安定する中生品種の「花飾り」を採用。

長期・安定出荷へ万全の土作り

長期間の安定出荷に向け、微生物分解型緩効性チッ素肥料(CDU)や牛ふんの堆肥、追肥には化成肥料を使用して増収を図る。

連作障害や根こぶ病の予防には、毎年圃場を変え5年で輪作するが「日当たりにより収穫スピードが変わるので圃場選びも大切」と話す。

出荷はパック詰めせずコンテナに3キロごとに分けて行い、省力化する。これは、加工業者も重さを自由に調整でき、双方にメリットがあるという。

「安定した収入確保に向け頑張りたい」と気合が入る。

▽経営面積 茶3ヘクタール、水稲80アール、花菜20アール

2019年3月3週号

農業保険の必要性を実感

山本 則次さん 亀岡市

山本 則次さん 亀岡市
「地区の農家が安心できるよう頑張りたい」と山本さん

私は損害評価員として10年間尽力しながら、地域の農業振興を模索しています。

そんな私が就農したのは20歳のころ。就農して10年ほどは、自身の農業と地区の草刈りや溝さらえなどの仕事を覚えるのに精いっぱいでしたが、30歳を過ぎたころから地区の集落組織の役員を務めることになりました。

私が住む南金岐(みなみかなげ)地区は農業者の高齢化に加え、農機具の高額負担などの問題を抱えていました。その打開策として、8年前に有志を募り集落営農組合を設立しました。

しかし、組合を設立したからといって農業者の高齢化や離農が止まるわけではありません。集落内の農業用施設(農道・水路・ため池)の維持管理も課題です。

現在、他の組織とも協力し合い、集落内に20代の担い手が育つ中、農地の維持管理などを継続的にできる組織づくりを検討しています。

自然災害が頻発する中、昨年は私の園芸施設が被災し、農業保険の必要性を実感しました。地区の農家が安心しながら地域に合った農業経営ができるよう頑張りたいです。

▽損害評価員歴10年 担当戸数14戸
▽経営規模 水稲120アール、花き(花苗・鉢物)35アール(6棟)

亀岡市 山本 則次(やまもと のりつぐ)さん(47歳)

2019年3月2週号

水稲複合で良質子牛生産

杉本 賢さん・好美さん 綾部市

繁殖和牛の放牧は、都府県で14%の実施(農林水産省調べ)と数少ない中、綾部市の杉本賢(ただよし)さん(77歳)は水田放牧を早期に取り入れ、水稲の複合経営により安心して使える安全な粗飼料の生産に励み、牛の健康維持と経費節減に努めている。

杉本 賢さん・好美さん 綾部市
「健康でいられるのはこの仕事のおかげ」と杉本さん夫妻
杉本 賢さん・好美さん 綾部市
水田放牧は4~11月までで、春は24時間、夏は夕方から朝まで行う
杉本 賢さん・好美さん 綾部市
「自分で生産した安全な餌を食べさせられる」と杉本さん

「良い環境で元気な牛を産ませることが私の仕事」――杉本さんは繁殖和牛14頭、子牛8頭の飼育と、「コシヒカリ」574アール、牧草のイタリアングラスとスーダン134アール、WCS(発酵粗飼料)用稲170アールを作付けする。

1980年に繁殖和牛の経営を始め、98年には京都府内で先駆けとなる水田放牧を始めた。 「田んぼを動き回るので、健康で足腰が強くなる。発情も早く見つけられるので種も付きやすい」と笑顔で話す。

「京のこだわり畜産物生産農場」登録を自信に

2014年には、京都府が実施する「京のこだわり畜産物(ビーフ)生産農場」に登録された。これは、地元産飼料の活用や家畜に快適な環境整備をなどを行い、安心で安全な畜産物を生み出す農場を登録する制度で、「府道から放牧地や牛舎がよく見えるので、できるだけきれいにします。登録農場を誇りに思い、周囲に恥じない経営がしたい」と気を引き締める。

粗飼料100%自給を目指す

粗飼料は自給率100%を目指す(2018年で90%)。特に、良好な栄養価を有するWCS用稲の栽培は全国的にも早い20年前から取り組んでいる。

約40年、共に農業を営んできた妻・好美さん(73歳)は「複合経営は、稲わらが牛の餌になるし、もみ殻は牛舎の敷料に使えるので大変合理的です」と話す。

NOSAI京都北部家畜診療所の梁勝現所長は「杉本さんは良質な子牛生産に尽力しています。これだけの経営ができるのはご夫婦のチームワークのたまもの。今後も頑張ってほしい」とエールを送る。

「健康でいられるのはこの仕事のおかげ。健康や生活を支えてくれる牛に感謝し、今後もこの経営を続けていきたい」と杉本さんは話す。

2019年2月4週号

人、自然、暮らしが魅力 インターン事業でPR

宮津市の住民グループ 上世屋定住促進協議会

宮津市の住民グループ 上世屋定住促進協議会
移住体験施設 「セヤハウス」
宮津市の住民グループ 上世屋定住促進協議会
「これまで4組のコーディネートを行いました」と杉本さん

宮津市上世屋の定住促進を担う住民グループ「上世屋定住促進協議会(ドチャック会議、小山愛生代表)」は、昨年7月から移住希望者に上世屋地区を体感してもらうインターン事業を始めた。

事業を担当する杉本健治さん(31歳)は、移住希望者の希望を聞きながら、人や自然や暮らしに触れ合える農村体験プランを作り提供する。

「上世屋地区は里山の美しい風景が広がり、棚田での米作り、狩猟、藤織りや紙すきなどが行われる魅力ある場所です。住民の半数以上が移住者なので、移住に踏み切りやすい地域」と紹介する。

杉本さん自身も地域の風景や住民の熱意に感動し、この業務を担当する。

「まずは一度、世屋に来て村の中を歩いてみてほしい」と呼び掛ける。

2019年2月2週号

食味と品質に自信 肥料・農薬不使用の米作り

茨 芳弘さん 八幡市

茨 芳弘さん 八幡市
オリジナルのラベルを貼った米袋を手に茨さん
茨 芳弘さん 八幡市
土壌改良剤は、米ぬかともみ殻を発酵させ焼土を加えた自家製

「味と品質にこだわった安全なお米をぜひ一度味わってほしい」と話す八幡市の茨芳弘(いばらよしひろ)さん(64歳)。肥料・農薬不使用で「ヒノヒカリ」2.1ヘクタール、「コシヒカリ」60アールを栽培している。

22歳の就農当初は慣行栽培だったが、自然の環境を変えずに農業に取り組むことを著した書籍を読んで感銘を受けた。まずは農薬の使用をやめ、徐々に施肥もやめ、面積も拡大していった。

おいしさも追求し、苗の床土には、米ぬかともみ殻を発酵させたものに焼土を加えて使用するなど工夫している。

除草対策には、除草機を自ら製作し効率化を図る。それでも特に夏場は草の成長が早く「除草は一番大変な作業です」と苦労を話す。

収穫した米は自然食品店などの店頭販売だったが、「自然栽培にこだわった いばごろう」というラベルを作り、玄米・白米をパッケージしたものを2017年から全国販売している。

販路拡大のきっかけは、同じく自然栽培を志した若手農家との出会いだった。

その後、有機JAS規格の認定を受け、チラシや名刺も作った。昨年10月には仲間とともに有機農産物の生産をめざす「アグリート京都山城」の結成にも参画した。

茨さんは「まだまだ、うまくいかないことも多いですが、おいしくて安全なお米を食べていただくために無肥料自然栽培を広げていきたいです」と意欲を見せる。

2019年1月4週号

着々と復田 地域農業を活性化

株式会社アグリサポート夢 福知山市

株式会社アグリサポート夢 福知山市
「景観が良くなり喜ぶ声が聞けてうれしい」と成田さん
株式会社アグリサポート夢 福知山市
復田前(左)と復田後(右)

地域農業の活性化の実証モデルとして2016年、JA出資型農業法人「株式会社アグリサポート夢」が設立され、福知山市中六人部地区の耕作放棄地の解消に尽力している。

離農や後継者不足により耕作放棄地の拡大に悩む同地区は、中六人部地域農業活性化協議会を設立し、農地銀行として地区の圃場をスムーズに賃借できる制度を作った。

同法人は農地銀行から地区で借り手のなかった圃場の管理を行い、現在、水稲6.6ヘクタール、小豆40アール、万願寺甘とう5アールを作付けする。

将来はクリ園にも

常務取締役の成田哲也さん(43歳)は「17年には3ヘクタールを復田しました。獣害が多く、水の管理が困難な圃場も多いですが、今後は復田した圃場の維持と、耕作放棄地をクリ園にするなど検討したい」と話す。

2019年1月3週号

後継者の確保が急務

田中 健一さん 京丹後市

京丹後市 田中 健一(たなか けんいち)さん(71歳)
「地区の農業を法人化し、農地を集約して守りたい」と田中さん

私の住む周枳(すき)地区は水稲栽培を中心に黒大豆の栽培が盛んです。しかし、近年は農家が減少し、山間部ではシカやイノシシの被害が増加しているため、農地を維持するのが難しくなってきます。

私は20歳ごろから農業を始め、栽培面積は減ったものの、少しでも地域の農業に関わりたいので農業を続けています。

地区の活動で農道の草刈りや獣害対策用の防護柵の設置を行い、今より環境の良い農地にしようと努めています。

また、若い世代にも農業に関心を持ってもらおうと遊休農地を利用し、菜の花畑や子供の田植え体験に地区一体となって取り組んでいます。

今後は農家の後継者問題の解決が急務です。地区の農家をまとめるのはとても難しいことですが、地区の農業を法人化し、農地を集約して守ることが必要と考えています。

共済部長を務め現在7年目です。NOSAIの共済事業は地区の利益になると思い、建物共済の一斉推進も評価員と協力し、今後も継続加入と新規推進で農家の家を回るなど、推進に励んでいきます。

▽共済部長歴7年
▽経営規模 水稲40アール、露地野菜15アール

京丹後市 田中 健一(たなか けんいち)さん(71歳)

2019年1月1週号

私の挑戦 竹パウダー効果に自信

澤田 潔さん 精華町

「新しい取り組み」として新商品を手掛ける農家を、商品への思いや今後の抱負を交えながら紹介します。

澤田 潔さん 精華町
「土壌にすき込むと作物が甘くなります」と澤田さん

「竹パウダーを土壌にすき込めば、野菜のおいしさの違いに驚きますよ」と絶賛する精華町の澤田潔さん(71歳)。土壌改良資材として竹パウダーを製造・販売している。

竹パウダーは乳酸菌が豊富なことから、土壌中の微生物を活性化させ、さらに微生物が増殖する役割を持つといわれる。「土壌にすき込むと作物は甘くなり、花は古い土でも元気に育つ」という。

澤田さんは10年前、知り合いの勧めで野菜作りに竹パウダーを使い、その魅力に引かれた。当初、ハーベスターを改造して竹の粉砕機を自作したが、効率の悪さから2016年に機械を購入。発酵処理した竹パウダーを近隣農家に試してもらったところ好評で、評判は口コミで広まった。

管理する竹林30アールから3年ほどのモウソウチクを切りだす。1日300キロを粉砕し、4~5日発酵させ、5キロ入り600円程度で販売する。

「今年も竹パウダーの良さを広め、安全でおいしい野菜や果物作りを追求したい」と意欲的だ。

▽問い合わせ先 澤田さん 電話090・3051・3350

2018年12月2週号

安定生産に重点 「やわらかレタス」養液栽培

ハッピーファーム瀬古商店 京都市

京都市で「ハッピーファーム瀬古商店」を経営する瀬古智亮さん(48歳)は「やわらかレタス」として2015年にレタスの養液栽培に取り組み始めた。病害や台風被害を乗り越え、「おいしい野菜を高い生産性で供給し、取引先や消費者に喜んでもらいたい」と生産拡大に挑む。

ハッピーファーム瀬古商店 京都市
「このレタスを楽しみにしている方へ満足を届けたい」と話す瀬古さんと、「おいしいの一言がやりがいです」と笑顔の香苗さん
ハッピーファーム瀬古商店 京都市
病害の後は、養液の成分を一定にするため、供給口(赤丸部分)を9メートル間隔から1.2メートル間隔に変更
ハッピーファーム瀬古商店 京都市
集荷作業も新しい意見や技術を取り入れ、効率化を図る

瀬古さんはかつて野菜栽培工場で養液と栽培の管理を担当していた。その経験を活かし、妻・香苗さん(46歳)とともに播種から出荷までの作業を行い、常に栽培管理の改善や作業の効率化を図るよう心掛けている。

現在はハウスを3棟(連棟ハウス1棟と小ハウス2棟)に増やし、1回につき約400~500個、週3回収穫する。12回転させ、年間約7万個を市場や直売所、百貨店などへ出荷している。

出荷先へは瀬古さん自ら足を運び、信頼関係を築いてから直接取引を行っている。

消費者からは「みずみずしい食感で、他のレタスが食べられない」「こんな柔らかいレタスを探していた」など好評だ。

病害や台風被害を乗り越え

安定した品質と生産量に至るまでには苦い経験もあった。なかでも、ピシウム菌による病害が発生したときは、ほとんどのレタスが罹病し、出荷量が激減。養液栽培の弱点を思い知った。

それ以来、養液は掛け流し式として管理に細心の注意を払い、収穫が途切れないよう努力を続けた。

瀬古さんは「今年はハウスが台風の被害に遭い、出荷量が減り、お客様へ迷惑をかけましたが、今後は近くの空きハウスを借用して経営規模を拡大し、販売先に迷惑かけないよう努力したい」と話す。

パートの森井愛子さん(41歳)は「日々改善され、新しいことに取り組まれる姿はすごい。お客さまが期待するレタスを作り続けてください」とエールを送る。

▽問い合せ先 ハッピーファーム瀬古商店 電話075・874・3452

2018年11月4週号

新年への祈り込めて ウメ剪定枝を正月飾り用に出荷

池野 勝信さん 城陽市

池野 勝信さん 城陽市
ウメを剪定する池野さん。「市況を見ながら、ズアイとコクセンの割合を決めて出荷します」と話す

正月飾りに用いられるウメの枝の出荷が間もなく始まる。

「みんなが新年を幸せに迎えられるよう願いながら作業します」と話す城陽市青谷梅林のウメ農家・池野勝信さん(66歳、ウメ1ヘクタール)。11月からウメの新梢の剪定が始まり、切り落とした枝の太さや長さを選別・調整し、「城陽の梅枝」として箱詰めしたものをを出荷する。

長さ1メートルの枝がズアイ、30センチ・40センチ・50センチの枝がコクセンと呼ばれ、正月用にサカキと共に供えるほか、正月の門松や生け花に用いられる。

家族で1日2千~3千本、12月中旬までに7万~8万本の出荷を見込む。

毎年2月下旬には「青谷梅林梅まつり」が開かれ、にぎわいを見せる。 池野さんは「近年はウメ農家の高齢化が進んではいますが、地元企業へウメの出荷が増えていて、活気が戻ってきました」と意欲的に話す。

2018年11月3週号

経営の未来図 地域農業を守り続ける

「農事組合法人妙楽ファーム」代表理事 城崎 正継さん 京丹波町

自然を相手に行う農業経営にはさまざまなリスクがあります。経営努力では避けられない事態が起こることも。農業経営者たちは、安定した経営のためにどのような努力をし、リスクに対しどう備えているのか――話を聞きました。

「農事組合法人妙楽ファーム」代表理事 城崎 正継さん 京丹波町
「法人を核に地域を元気にしたい」と城崎代表

「安全な食を届け、地域を元気にする」ことをコンセプトに、農薬に頼らない作物の栽培、販路の確保、後継者の育成、農家民泊などに励んでいます。

若者の農業研修を受け入れ、地域に就農すれば農地やハウスを譲っています。法人自体は規模が小さいですが、赤字は絶対に出しません。

役員は、将来、法人を担う若者たちが安定した経営を継げるよう、その礎を築こうと、奮闘しています。

収入保険の加入はその選択肢の一つ。保険料は高いといっても節約の範囲内で捻出できます。積立部分は災害がなければ次年度に持ち越せますし、補償も大きいことが魅力です。

山水で育てた特別栽培米は全て一等米。寒暖差がある気候で育った作物は甘味が増し、出荷先の業者やホテルなどに好評です。

今後も、法人を核に地域が元気になるよう、頑張っていきたいです。

▽水稲5ヘクタール、黒大豆10アール、小豆10アール、野菜ハウス1棟
▽68歳

2018年10月4週号

父の背中に追いつけ追い越せ

坪倉 和夢さん 京丹後市

坪倉 和夢さん 京丹後市
「将来は栽培が難しい地元特産の琴引メロンに挑戦してみたい」と知夢さん

京丹後市の坪倉和夢(かずむ)さん(20歳)は「父のように作物を一番に考えられる農家になりたい」と、今年、実家に就農した。現在ハウス5棟を任され、ネット系メロンとその裏作としてトマトの栽培に励む。

ハウスで栽培するトマトの品種は「りんか409」「桃太郎ヨーク」「麗月」。収穫は朝6時から始まり、午後は生育状況の確認をする。「毎日が失敗の連続」と、周囲からアドバイスをもらいながら、悪戦苦闘している。

今年の夏は猛暑の影響でハウス内が高温になり、トマトの裂皮・劣果が発生。こまめな換気や天井に遮光ネットを使用するなど日差しを和らげ、生育に支障がでないよう温度管理に苦労した。

子どものころから農業が好きで父を手伝い、高校卒業後はタキイ研究農場付属園芸専門学校へ進学した。2年間の研修では今の栽培の基礎を学べたという。

「父は台風の時もぎりぎりまでハウスを開けて換気に気を使います。出入り口の点検やバンドの固定などをしっかり行い、台風が過ぎるとすぐにハウスの状況を見回ります」と作物を大切に育てる父親を尊敬する。

トマトの収穫は12月まで続き、1月からメロンの播種の準備が始まる。「2年目は収量増と、安定した栽培を目指したい」と意欲的だ。

水稲5ヘクタール、ハウス22棟でユリとメロンを栽培する父・吉男さん(45歳)は「同じ農業者として、作ること、売ることに対してお互いに相談しながらやっていきたい」とエールを送る。

2018年10月3週号

世代を超えてつながりづくり

恒例のかかし祭り 南丹市八木町氷所集落

恒例のかかし祭り 南丹市八木町氷所集落
「今年はスポーツ選手や人気のアニメキャラクター、地域住民をモデルにしたかかしです」と人見会長

南丹市八木町の氷所(ひどころ)集落では、3年前から毎年9月に「かかし祭り」を開催し、4つの農事組合のお年寄りから子供までが一緒にかかしを作り、住民が集う場づくりを大切にしている。

実施主体の氷所地域資源保全委員会・人見日出男会長(75歳)は「かかし作りは年々技術も向上しているし、地域住民が集まる機会ができて良かった」と話す。各農事組合は8月中に5体以上のかかしを作り、計20体が農道脇に出展された。

来場者からは「私の町でも取り組んでみたい」と評判だ。かかしは9月末まで展示され、来場者の人気投票により表彰式が行われた。

今後は「オープン参加によるかかし祭りが開催できるようになれば」と話し、また「住民全体で田んぼアートにも挑戦したい」と意欲的だ。

2018年10月2週号

農業共済は「お守り」

稲子 和夫さん 綾部市

稲子 和夫さん 綾部市
「地域の土地は地域で守る」と稲子さん

私が住む草壁集落は、水稲の作付面積は約7ヘクタールで、全て圃場整備されています。「地域の土地は地域で守る」を旗印に2008年オペレーター部会を立ち上げ、高齢の農業従事者をサポートする事業が始まりました。そのかいあって農業従事者は減少しても地域内に休耕田は存在しません。このことは私たちにとって唯一自慢できることです。

農業を取り巻く環境は、国民の米食離れ、自然災害、獣害など厳しいのが現状です。課題は、この障害を打破する新しい取り組みや対策を講じるだけの意気込みを持つ人材の育成です。また、収穫した特産品を組織的に販路開拓するなど、農業経営に対する貪欲さ、熱心さを譲成することも重要です。

ここは獣害が少ない方ですが、自然災害は局地的に発生しているので、農業共済制度の活用は重要だと思います。

高齢になると経済活動が負担になってくるため、いったん災害に遭遇すると復興するのに時間と資金がかかります。そのため私は、農業共済は「災害へのお守り」と「再建資金」の二本立てで加入推進に努めたいです。

▽共済部長・損害評価員歴4年、総代歴3年 担当農家数15戸
▽経営規模 水稲49.85アール、小豆3.16アール、その他野菜3.6アール

綾部市 稲子 和夫(いなこ かずお)さん(75歳)

2018年9月4週号

獣害ゼロへ 私たちのアプローチ

小山 愛生さん 宮津市上世屋地区

野生動物との共存・共生は、農作物被害を減らす鍵になるといわれている。棲み分けの定着を目指す取り組みが獣害ゼロにつながり、里山の恵みを享受する楽しみにもつながっている。


「面白いのはくくり罠。先人の知恵や技術を学び、狩猟技術を磨きたい」と小山さん

簡易獣肉解体施設の設置には、地区での話し合いを何度も重ねた

「罠に丸々太った獲物がかかると、山々の力を感じます」と話す宮津市上世屋地区の小山愛生(こやまひでき)さん(37歳)。稲作で生計を立てる人のたくましさに魅せられ、2014年、棚田が広がる上世屋地区に移住した。

現在2ヘクタール・約50筆の棚田で農薬を使わない米作りを行い、農家組合長を務める。冬場は雪深く農業ができないため、狩猟で家族を養う。

小山さんが狩猟期間に捕獲したシカやイノシシの肉は、府北部の丹後地域で野生鳥獣肉(ジビエ)料理を提供するレストランなどに販売している。

「この山で捕れたものはおいしいと人気があります。肉質の良しあしは口コミで広まるので、品質は絶対に落としたくない」と、頭数よりも良い猟場で育った良質な個体の捕獲に力を入れる。捕獲直後に必ず自らが止め刺し(最後の一撃)を行い、確実に放血するなど、肉質の管理を徹底させる。

捕獲技術を磨きつつ高品質ジビエ提供

これまでは卸業者に販売していたが、今年2月に約35平方メートルの簡易獣肉解体施設を設置。処理頭数が少なくても黒字化できるようコストを抑え、解体から販売まで行える。獣肉店として地区の冬場の収入源も確保。「狩猟で生活したい人を募集しています」と定住を呼び掛ける。

同地区の住民は半数以上が移住者。小山さんは地域を存続させるため、定住者を呼び込む活動の代表も務める。

近年、宮津市の獣害は減少傾向にあり、防護柵の設置や捕獲活動による個体数の減少が寄与している。一方、猟友会員の減少と高齢化が深刻で、後継者育成が急務となっている。

宮津市産業経済部農林水産課の井上一希さんは「小山さんの頑張りは周囲に良い刺激を与えていると思います。今後も熱い思いを持って活動してほしいです」と期待する。

2018年9月3週号

歴史ある赤米もみ種を継承

芋野郷赤米保存会 京丹後市

芋野郷赤米保存会 京丹後市
ドライフラワー用の赤米を手に藤村さん

「今年の田植えイベントは約60人もの参加がありました。生育も順調です」と話すのは京丹後市弥栄町の芋野郷(いもののさと)赤米保存会会長・藤村政良さん(68歳)。同地区は、平安時代に赤米を献上していたことから、2011年に保存会が設立。田植えイベントを行い、古代米、ドライフラワーなど加工品の販売も行う。

現在、赤米2アール、黒米2アール、採種・加工用に13種の赤米4アールを作付けし、土作り以外は肥料・農薬を使わずに栽培する。赤米圃場には早生と晩生品種があるため、水管理や落水時期の見極めが難しく、晩生はスズメの被害対策に苦労する。

「保存会の目的はもみ種の継承です。そのため、役員は30~80代の各年代1人ずつで構成しています。少しずつ若い世代に引き継いでいけたら」と藤村さんは笑顔で話す。

2018年8月4週号

ブルーベリー摘み取り園 約40種類400本

今西 和男さん 亀岡市

今西 和男さん 亀岡市
親子連れのリピーターからも人気。通路はベビーカーが通れるよう幅を設けている
今西 和男さん 亀岡市
「おいしいブルーベリーを提供したい」と今西さん

「人が来れば住んでいる人の意識が変わる」と話すのは亀岡市畑野町でブルーベリー園「和(なごみ)」を営む今西和男さん(72歳)。自然が広がる山里で地域活性化につなげようとブルーベリーの収穫体験を行っている。

今西さんは「水不足や獣害に遭いやすい圃場を休耕にするのではなく、他の作物で有効活用したかった」と話す。

2011年からブルーベリーの試験栽培を行い15年から本格的に収穫を開始。6月下旬から8月中旬まで収穫体験ができ、毎年京都府内外から約400人の家族連れなどが訪れる。「大きな実で市販のものと違っておいしい」と評判だ。

目標は”みんなが集う山里”

園では22アールの圃場に、甘味と酸味のバランスの良い滑らかな食感のハイブッシュ系と、子どもが好む甘味のあるラビットアイ系の約40種類400本のブルーベリーを栽培している。「種類によって味や食感が違うので自分好みを見つけてほしい」と笑顔で話す。

「ブルーベリーは砂地で水はけの良い土壌を好み、また土壌の酸性度(PH)が合わなければ生育不良になって木が育たない」と、土壌改良剤のピートモスやもみ殻、硫黄粉末を施しPH4.5に調整することでブルーベリーに適した土壌作りを行っている。

「田舎なので多くの人に来園してもらうにはおいしいものを提供しないと。今後も努力して地域を盛り上げていきたい」と意気込む。

2018年8月3週号

夢は「農家レストラン」経営

(株)八百丹・三崎 要さん 福知山市

(株)八百丹・三崎 要さん 福知山市
夢を話す三崎さん

「農家レストランをつくりたい」と話すのは福知山市三和町の「株式会社八百丹(やおたん)」代表取締役の三崎要さん(45歳)。

ハウス24棟、露地約1ヘクタールでホウレンソウ、コマツナ、ミズナといった葉物を中心に黒大豆のエダマメ「紫ずきん」、ブルーベリーなど多品目を栽培している。

「長い間、個人経営でしたが、社会的な信頼を得るため、雇用がしやすいよう、2018年1月に株式会社を設立した」と三崎さん。

売り上げ向上と、従業員(3人)が働きやすい環境を整えるために日々模索している。

いずれは「農家としての付加価値をつけた商売がしたい」ということから、「ここ三和町で農家レストランを経営したい」という三崎さん。

「栽培品目、従業員を増やしていき、夢の実現へ一歩ずつ近づきたい」と力強く前を向く。

(※名前の「崎」は常用漢字を使用しています)

2018年8月2週号

待ち望んでいた収入保険

稲置 浩之さん 南山城村

稲置 浩之さん 南山城村
「農機具共済への加入を勧めています」と稲置さん

南山城村は宇治茶の生産が盛んで、山水を利用した水稲の栽培も行われている京都府で唯一の村です。

私の住む田山地区は丘陵の谷筋や斜面を開拓し、集団茶園が点在しています。茶の栽培面積が増えるにつれて作業の効率化が図られ、機械が大型化しています。機械の購入価格も高騰しているので農機具共済は農家のお守りの一つとして加入を勧めています。

ここ10年ほどで山間地特有のシカ、イノシシの被害に悩まされています。

はじめは被害が谷あいの一部の水田だけで、トタン板などで防御できていましたが、最近は被害面積が増えているので、電柵と金網の二重防御を集団で行い、被害を最小限に食い止めています。水稲共済の補償はありますが、地区の共済部長、損害評価員として次の手だてが必要だと感じています。

現行の農業共済制度は近年被害も少ないので収量補償では魅力が薄いように感じていましが、来年から実施される収入保険制度には期待しています。収入保険は農家が望んでいた制度だと感じます。

▽共済部長歴17年、担当農家数16戸
▽経営規模 茶3ヘクタール、水稲1ヘクタール

南山城村 稲置 浩之(いなおき ひろゆき)さん(54歳)

2018年7月4週号

新たな特産に 耕作放棄地をオリーブ園へ

宮津市

宮津市は、行政のサポート、農業者の努力、イタリアの技術を組み合わせ、高品質なオリーブオイル生産に取り組む。地域活性化と遊休地の解消に向け、目指すはオリーブ栽培の産業化だ。

宮津市
日置地区のハウス(1棟)では宮津市内に植栽する10品種・約1000本の苗木を育成。「今すぐには結果は出ないが夢とロマンが詰まっている」と瀬戸さん
宮津市
「値段が高くても、品質の良さで購入してもらえるものを目指したい」と話す藤田課長
宮津市
「農業者の立場に立ち、適期のアドバイスや作業の手伝いをしています」と話すアンドレアッキオさん

国内でのオリーブオイル消費量は約5万5千トン。そのうち国内産はわずか0.05%程度。需要は毎年伸びていて、食品以外にもせっけんや化粧品など裾野が広く、オリーブ栽培も管理が比較的容易だ。

オリーブの生産振興を任された宮津市産業経済部農山漁村振興課の藤田憲一課長は「オリーブ栽培は地域の活性化に必ずつながる」と栽培促進を決意した。

2013年、高齢化でミカン畑などの遊休地の増加に悩む由良地区で、有志による「由良オリーブを育てる会」が発足。翌年には267本を植栽し、栽培が始まった。

16年には日伊文化交流協会と連携協定を締結し、オリーブ事業が本格スタート。オリーブの栽培や加工技術の向上などをサポートし、情報発信や販売戦略などオリーブ産業全体をマネジメントする組織が設立された。

同協会代表のヴィンチェンツォ・アンドレアッキオさんは「宮津市のオリーブオイルは搾油方法や保存方法によりもっとおいしくなる。全力でサポートしたい」と意欲的だ。

良質苗木を輸入

収量を安定させるためには苗木が重要で、イタリアで認証を受けたものを輸入。現在は府中、日置、宮村などの地区も加わり、市内で約1800本、約20品種のオリーブが栽培され、昨年から人工授粉の研究も始まった。

日置地区では約10アールの耕作放棄地をオリーブ畑に再生させた。パワーショベルなどを使い約60センチ耕起するなど、苗木の植栽まで2カ月の作業を要するが、今後さらに30アールを再生させる予定だ。

「日置オリーブを育てる会」の瀬戸享明(たかあき)さん(62歳)は「オリーブ栽培を通じて連帯感が生まれました。チャレンジ精神の機運を高めていきたい」と話す。

同市は19年度末までに1万本の栽培を目指していて今が正念場。藤田課長は「今はまだ規模が小さいですが、一つの産業として発展できるよう全力で頑張ります」とぶれずに前を見据える。

2018年7月3週号

農の担い手たち トマト栽培を究める

杦野 正さん 京都府立農業大学校

農業の担い手を養成する機関として、全国各地に農業大学校が設置されている。就農を志す人や経営の発展を目指す人が、農業においての経営感覚を身に付け、農業技術を習得すべく、日々学ぶ場だ。在校生は研究や実習を通して将来の設計図を描き、卒業生は自立した農業経営にまい進している。

杦野 正さん 京都府立農業大学校
トマトの芽かき作業と誘引作業を淡々と行う杦野さん

「父が苦手としていたトマトの栽培技術を身に付けたい」と話す杦野正(すぎのただし)さん(26歳)は、京都府立農業大学校で野菜経営コースを専攻している。

プロジェクトで、中玉の「パルト」、大玉の「CF桃太郎ファイト」「華美」の品種比較に取り組む杦野さん。「トマトの台木がネズミに食べられ、生育が遅れてしまった。収穫時期がそろわないと品種比較にならない」と不安もあるが、「農業実習などで栽培管理が途切れないよう、継続して栽培したい」と熱心で冷静、真面目な性格だ。

杦野さんは、農業を継いでほしいという祖父母の思いを受け、農業の道を歩もうと思い始めた。大学卒業後は農業関連企業への就職も考えたが、母親が野菜販売で「ありがとう」や「おいしかった」と言われる光景を目にし、「やっぱり自分が農業をしよう」と就農を決意したという。

「卒業後は別の農家で2年くらい研修を受けたい」と、農家や農業法人とのマッチング会に積極的に参加。将来は「農地をフル活用したもうかる経営を目指したいです」と目標を強く持つ。

2018年7月2週号

量より質を重視 ブランド京野菜「賀茂なす」

松岡 信次さん 亀岡市

松岡 信次さん 亀岡市
「賀茂なすは果実が堅く、その歯応えが人気です」と松岡さん

亀岡市曽我部町の松岡信次(しんじ)さん(70歳)は、ブランド京野菜「賀茂なす」を栽培し、13年目を迎える。賀茂なすは美しい球形が特徴で、量より品質を重視し、盆地特有の気候を利用した露地栽培に取り組む。

「賀茂なすは風に弱く、葉が触れるだけで傷が付き、罹病することがあるので、特に風対策に力を入れています」と、圃場の周りを防風ネットで囲み、さらにその内側にソルゴーを植えて二重の壁を形成する。7月から10月までの期間、壁に守られた200本の苗木から約4トン収穫。JAを通して市場に出回る。

亀岡市の賀茂なす出荷量は京都府内の約6割を占める。松岡さんは「高齢化が進む現状であるが、若手農家を募って賀茂なす栽培を盛り上げていきたい」と話す。

2018年6月3週号

仕出し弁当が定着

綾部市の女性グループ「ふたば」

綾部市の女性グループ「ふたば」
「ふたば」のメンバー。前列左が代表の藤原さん
綾部市の女性グループ「ふたば」
地元野菜を使った「綾菜弁当」

綾部市物部町須波岐(すわぎ)地区で活動する「ふたば」(代表・藤原則子さん=68歳)は、グループで栽培した野菜を中心に地元産を使った仕出し弁当「綾彩(あやさい)弁当」の販売と、直売所への野菜の出荷に精を出している。

1993年4月に発足して、そばやキュウリの漬物、もろみ、納豆などの加工品作りからスタートした。その後、地元の老人会から仕出し弁当の注文があり、取り組んだところ、評判を呼び定着していった。

今では、年間約6千個の仕出し弁当を販売していて、メンバー9人で注文が入り次第作業に取り掛かっている。

メンバーは60代と70代が中心だが、50代の後継者も育っている。

地産地消を大切に

代表の藤原さんは「活動を通して企画・実践の力がつき、わずかながら収入を得ることは農村女性の自立の一例ともなった」と話し、「近所の人と共同作業をすることはみんなの楽しみ」と、この活動が大切な交流の場となっている。

年3回行う「ふたばサロン」は、老人会も一緒に集まり地域の人にも喜ばれている。周りから「須波岐地区の人は活動の場があっていいな」と注目されるほどになった。

現在、年間を通じて地産地消を行おうと、グループで管理する畑(20アール)とメンバー各自の畑で少量多品目の野菜栽培に力を入れる。9月末まで収穫できるキュウリの栽培に取り組むなど、食材の確保に余念がない。

2018年6月2週号

空き家再活用して風情ある農家民宿

山本 理文さん 宇治田原町

山本 理文さん 宇治田原町
「茶文化かおる和空間で憩いのひと時をどうぞ」と山本さん

宇治田原町で築100年以上の製茶工場をリノベーションした、同町初となる農業体験型宿泊施設「MARU+JYU(まるじゅう)」がオープンして2年目を迎える。

「さまざまな体験を通して、かけがえのない時間を過ごしてほしいです」と話すのは、企画者の山本理文(まさふみ)さん(31歳)。

初夏には茶摘み、秋には稲刈りやシイタケ刈りなど四季折々の風情を提供する。

宿泊施設は、黒谷和紙を使った市松模様の壁と縁無し畳が調和し、照明の京地張り提灯が落ち着いた和の空間をつくりだす。

著名なアーティストによる細部まで手の込んだ内装で、「心地よい」「趣がある」と国内外から旅行者が足を運ぶ。

今後は、「町内に増えつつある空き家を、農家民宿として再活用することによって、ふるさとの活性化に役立ちたいです」と山本さんは話す。

2018年5月3週号

私を輝かせる農の魅力

黒田 真紀さん 亀岡市

農業には女性の活躍が欠かせません。農業に携わる女性に、「農の魅力」や、心掛けていること、将来の展望を聞きました。


「一人で行う経営を工夫しています」と黒田さん

子供のころからなじみのある農業に就きたいと思い、大学卒業後に農業大学校に進学。卒業後は農地所有適格法人で5年間勤務し、独立して4年目になります。過去の経験を生かし、自分のペースで仕事ができることが独立の魅力です。

「九条ねぎ」を周年栽培し、年間約30トン出荷しています。一人で行える経営内容を考え、手間の掛かる収穫作業は外部委託し、作業の軽減を図っています。

生産量の確保と品質向上のためには良いものを柔軟に取り入れ、挑戦することを大切にしています。クラウドサービスでの作業管理は、圃場で確認できる点が便利です。

ネギは湿度に弱いので排水管理には苦労します。連作障害対策には圃場をローテーションし、防風対策にソルゴー障壁栽培を導入したり、雑草防除にグラウンドカバープランツを使用するなど工夫しますが、昨年は、6月中旬から8月中旬の長雨の影響で一部で収穫と作付けができず、収入が半減しました。

今後は、まず生産を安定させ、GAP(農業生産工程管理)認証の取得を目標にしながら、地域の農業を活気づけていきたいです。

▽くろだ まきさん(34歳)、ネギ70アール、ハウス1棟

2018年5月2週号

ヤマノイモ科の芋「洛いも」 新たな特産に

京都府精華町

精華町は、京都府立大学が選抜・育成したヤマノイモ科の芋「ダイショ」を、新たな特産品にしようと取り組んでいる。町と大学の連携協力包括協定のもと、町内の農家らが技術を継承し、”町の芋”という意味を込めて「洛いも」と名付けた。苗生産を担う岡田浩伸さん(56歳)は「栽培者が増え、消費も増えてくれれば」と期待する。

京都府精華町
洛いもの苗をポットに仮植えする精華町花き部会のメンバー。後列左が岡田さん
京都府精華町
「洛いも」 写真提供=精華町役場
京都府精華町
芽が出た状態。本葉が出るまでパイプハウスで大切に育てる

洛いもの苗は寒さに弱いことから、カットした種芋を育苗器とハウスで育てる。「芽が出るまでの管理に一番気を使う」と岡田さんは話す。

苗生産は、岡田さんが部会長を務める精華町花き部会が5年前から手掛け、現在は有志4戸が生産・販売する。「当初は、種芋の表面にカビが生えるなど温度や湿度の調整に苦労しました」と岡田さん。

ポットに仮植えした苗は、主に、町内の生産者でつくる「精華町洛いもグループ(田中正博会長)」に出荷するほか、町内の直売所などで販売され、今年は1万株の販売を予定している。

秋に大きな芋が収穫できる洛いもは、すりおろしてお好み焼きやピザの生地に混ぜたり、素焼きや素揚げしたりと料理の幅は広い。また、環境に配慮したグリーンカーテンとしても人気だ。つるが勢い良く伸び、ゴーヤーの葉より厚みのあるハート形の葉をつけることから、「涼しい」とリピーターが多い。

焼酎「精華の夢」で消費拡大に期待

洛いもグループは、3年前から、鹿児島県の大学や奈良県の酒造メーカーと提携し、洛いもを使用した焼酎「精華の夢」を生産している。町内産洛いも100%の芋焼酎として、町内限定販売だが「飲みやすい」と好評を得ている。

洛いもは収穫してからの日持ちが短いことや、切り口が褐変するなどの弱点があり、それを克服するため、紆余曲折を経て芋焼酎加工にたどり着いた。

グループの田中会長は「焼酎は加工の選択肢の一つ。生産技術の向上とともに、より多くの商品を作っていきたい」と話す。

岡田さんは「今後は、飲食店などへ料理のレシピなどを提案し、洛いもの名前を広めて、消費拡大につなげていきたい」と意気込む。

2018年4月4週号

タケノコ 消費者の声が励みに

斉藤 隆男さん 京都市

斉藤 隆男さん 京都市
「新鮮な京タケノコ(下写真)はサッと湯がいて、わさびじょうゆで食べるのがおすすめ」と斉藤さん
斉藤 隆男さん 京都市

京都市西京区大原野の斉藤隆男さん(50歳)は、50アールの竹林で旬を迎えたタケノコを収穫し、JAや近隣のスーパーへ出荷している。

「4月中ごろに収穫した京タケノコは一番味がのって格別。ぜひ多くの人に味わってほしい」と話す斉藤さん。

丁寧な管理で品質キープ

地面の微妙な盛り上がりやひび割れを目印として、土中にあるタケノコを掘り起こす。柔らかく歯触りが良くなるよう、日当たりや風通しを考慮した間伐、一輪車での施肥・土入れ、またイノシシ害を防ぐ電気柵を張るなど、丁寧な管理を年間通して行う。

「今年の出来は天候の影響で例年より早く、量にも期待したい」と話し、「高齢化や竹林管理が大変なことから廃業が増加しているが、『おいしいのでまた食べたい』の声を励みに頑張っていきたい」と意気込む。

2018年4月2週号

加工用野菜 さらなる規模拡大へ

二ノ宮 大地さん 京丹後市


「丁寧な苗作りが出荷増につながります」と笑顔の二ノ宮さん

京丹後市弥栄町の二ノ宮大地さん(22歳)は就農3年目。ハウス2棟と約320アールの丹後国営開発農地でサツマイモ、キャベツ、カブ、ダイコンなどの加工用野菜を栽培し、規模拡大に向け奮闘している。

小学生のころから祖父・清さん(79歳)の影響を受け、農業に興味をもった二ノ宮さん。 高校3年生の時に清さんの強い勧めで京都府が募集する「丹後農業実践型学舎」(別項参照)に応募。学舎の2年間で営農の知識を身に付け、卒業後に就農した。

就農1年目はハウス内の水管理に失敗し、生育の悪い苗ばかり。農家仲間から苗を譲ってもらいなんとか定植したが、虫害発生で契約の3分の1しか出荷できなかった。

2年目は失敗を繰り返さないよう1日に3~4回は苗の状態を確認して、水やりと温度管理に注意した。そのかいあって苗の生育が順調に進み、カブは契約出荷玉数の1万個に対し約1万2千個出荷できた。

「品質の良いものを出荷できたので、今年は出荷契約が約1万5千玉~2万玉まで増えそうです」と喜ぶ。

祖父の清さんは「いろいろな失敗をしながらも、くじけず前向きに楽しんで農業に取り組んでほしい」と話し、孫の農作業を手伝う。

二ノ宮さんは、「このまま安定した収量を確保しながら、将来的には700アールぐらいに規模拡大を目指したい」と抱負を話す。

▽丹後農業実践型学舎=京丹後市の丹後国営開発農地での大規模野菜生産を実践できる中核的担い手を育成する研修。内容は、生産から加工・流通・販売までの実践的な研修のほか、農業経営に関する座学等、就農に必要な知識と技術等の研修。