みんなの手で鳥獣被害ゼロへ
NOSAI丹後 鳥獣被害対策チーム
農作物の鳥獣被害軽減を目指し、京都府のNOSAI丹後(丹後地区農業共済組合、太田貴美組合長)は先ごろ、丹後地域鳥獣被害対策講習会を開催。2日間にわたり農家向けを2回、関係機関の役職員向けを1回実施した。農研機構・近畿中国四国農業研究センターの江口祐輔上席研究員が講師を務め、野生動物の生態や行動からみた効果的な防除対策を指導した。役職員向け講習会は、正しい知識で農家に適切なアドバイスができる人材を育成しようと初めて開いた。農家向けの講習会では鳥獣被害が多い山際の圃場で、電気柵の正しい設置法などを説明した。

関係機関の役職員向け講習会は2時間半行われた

電気柵の正しいは里香たを指導する江口上席研究員(手前)

スライドの一部
役職員向け講習会には行政やJA、NOSAIの職員など47人が参加した。京都府丹後広域振興局農林商工部の中村治部長が、丹後地域の野生鳥獣による農作物被害額が、2010年度は2億円を超えたと報告。「効果的な被害対策の認識を深め、それぞれの立場から農家に指導していただきたい。被害ゼロの地域づくりにみんなで連携して頑張りましょう」とあいさつ。江口上席研究員が、イノシシやシカなどの生態と行動に合わせた防除対策を講演した。
鳥獣被害の発生原因は、野生動物への餌付けにあると指摘。収穫後、圃場に残る野菜の外葉を除去するなど、集落から餌付けの要因を無くすことが大切とした。人に慣れないよう、野生動物を見たら石を投げて追い払うことも求めた。
イノシシやシカは、柵を飛び越えるよりくぐり抜ける方を選ぶと紹介。「柵を高くして安心する農家が多い。柵の下をくぐられないように指導してほしい」と呼びかけた。被害を受けた際は「どうして侵入されたのかを農家と一緒に考えてほしい。一度や二度で諦めず、柵を補修して強度を高めてほしい」と話した。
においや音、光で野生動物を圃場に近寄らせない方法は「必ず慣れる」と強調。「長期的に効果があるものは存在しない。逆に餌の場所を知らせて、被害を助長する恐れもある」と述べた。
参加したJA京都丹後広域営農センターの水口輝夫課長補佐は「鳥獣被害の軽減に向けた意識の統一を図るのに有意義だった。農家に分かりやすく説明していきたい」と話す。
講習会は、丹後広域振興局とNOSAI丹後が共催し、07年から始めた。開催場所を変えながら集落の農家に参加を呼びかけ、地域ぐるみでの取り組みを支援してきた。
今回、新たに関係機関を対象にした講習会を開いた狙いをNOSAI丹後事業第二課の竹中峰明課長は「鳥獣被害に悩む農家に正しい知識でアドバイスできるNOSAI職員を育てたい。さらに、農家と接する機会が多いJAにも参加を呼びかけた」と話す。
農家向け講習会は、イノシシとシカの被害に悩む宮津市吉津地区と京丹後市峰山町五箇地区で開いた。吉津地区では51人が参加した。講演後は、被害が多い山際の圃場に移動し、江口上席研究員から電気柵の正しい設置法などの指導を受けた。
イノシシとシカに侵入されない電気柵は、(1)電線を5段に張り、高さは地面から20、40、60、90、130センチとす(2)24時間通電する(3)支柱のがいしの向きは圃場の外側にする(4)支柱は舗装された道路から50センチ以上離す−−などポイントを説明した。
参加した宮津市世屋地区の前野周雄さん(70歳)=シャクヤク10アール、ヤマノイモ3アール=は「以前も講演を聞いたことがありますが、数年たつと忘れている部分があり、あらためて参考になりました。柵を二重にするなど徹底したい」と話す。
NOSAI丹後の野村卓男参事は「共済事故の5割以上を鳥獣被害が占めている状況だ。関係機関との連携を密にし、被害軽減に取り組んでいきたい」と話している。